かめぽん

チューもく!! 春の宵にミステリーを味わおう。 作家デビュー70周年 松本清張ドラマスペシャル

実はかめぽん、推理小説大好き少女だった。ちょうど学生時代に横溝正史シリーズが復刻し、世は推理小説ブーム。原作もたくさん読んだし、派生してクリスティやクリーンなんぞも読みかじったなあ。
金田一シリーズや、クリスティのスター総出演の映画なんかも観た。ちょうど、松竹さんが松本清張先生の映画を作っていた頃だったのでそれも観た。
だけど、なぜか清張作品だけ原作を読まなかった。家にあった文庫本が古くて、やたら字が小さかったからかもしれない。
その後、かめぽんの推理小説熱は冷め、清張作品を読む機会がないまま時は流れたのだけど。
で、2009年、かめぽんに松本清張先生の小説を時系列にチャート化するお仕事が舞い込んだ。
ライターさんの原稿通りに作るのだが、これが結構複雑で、そこで初めて清張先生の小説を読み始めたのだ。
時系列のチャートを作りながら読むので、内容もバッチリ頭に入るし、面白く読めた上にチャート図もなかなかの出来栄えになった。
お仕事は当初の計画よりも短い巻数で終わってしまったのだが、かめぽんにとって松本清張作品とのよい想い出になっている。
今回の作品は渋目のラインナップのせいか、かめぽんのお仕事で作らなかった作品が数多くある。良い機会なので、作品を視聴し、また原作本を読んでみようかな。
コロナ禍でお家時間はたっぷりある。

202103

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、今月の東映チャンネルもバラエティにとんでおります。
北斗の拳実写版って…外国の方が演じたんだ!知らない作品はまだまだあるなあ。これはチェック。
「生誕90年 高倉健特集 Vol.2」は網走番外地に任侠ものと11作品も。
藤純子さんが好きなので「連続放送! 緋牡丹博徒」も楽しみだし、「ザ・スーパーガール」「プレイガール」「ミラクルガール」を見比べるのも楽しそう。
子供の頃、プレイガールにも憧れたなあ。
近所の公園でお散歩がてらのお花見くらいできますように。
皆さんも、くれぐれもご自愛くださいね。

今月もわくわくな東映チャンネルをお楽しみに。

2021年3月2日 | カテゴリー: かめぽん
その他

チューもく!! 東映テレビドラマLEGACY 第25回『大東京四谷怪談』

今月の「東映テレビドラマLEGACY」は、1978年9月に放送された「土曜ワイド劇場」作品『大東京四谷怪談』をご紹介します。『土曜ワイド劇場』は、1978年7月から放送2年目に入りましたが、当時はまだ2時間枠ではなく、90分枠での放送でした。8月第3週、第4週には「夏の怪奇シリーズ」と題し、それぞれ『原色の蝶は見ていた 死の匂い』『怪奇!巨大蜘蛛の館』を放送。前者は西村寿行先生の原作で、脚本:山浦弘靖さん、監督:増村保造さんという『ザ・ガードマン』(65年)的な布陣。主演は由美かおるさんが務めました。後者は円谷プロのオリジナル作品で、キャストには小川知子さん、中山仁さんらが名を連ねています。

『大東京四谷怪談』は9月第1週の放送ということで、「夏の怪奇シリーズ」の冠こそ外れたものの、「怪奇シリーズ特選!」と題して放送されました。ちなみに、この時期、裏番組としては、夜9時台は民放各局ともにドラマを放送。日本テレビは水谷豊さん、大竹しのぶさんが主演の『オレの愛妻物語』、フジテレビは田宮二郎さん主演の『白い巨塔』、東京12チャンネル(現:テレビ東京)は里見浩太朗さん主演の『大江戸捜査網』、そしてTBSでは、丹波哲郎さん主演の『Gメン’75』が放送されていました。もし、この日にタイムスリップしたら「全部観たい!」という気持ちになりそうです。1978年なので、ビデオデッキすら、ほとんど普及していない時代ですが……。

さて、この『大東京四谷怪談』ですが、原作は「神津恭介」シリーズなどで知られる高木彬光先生。本作は「墨野隴人(すみの・ろうじん)」シリーズの第3作として1976年に発表された長編作品の映像化ですが、墨野隴人や村田和子といったキャラクターはそのまま登場するものの、原作からは、かなり大胆に改変されています。監督は、『プレイガール』(69~74年)などを経て、当時は『必殺』シリーズなどを手がけていた原田雄一さんが務めました(プロデューサーも『プレイガール』の大久保忠幸さんです)。

 

二宮柳子(富山真沙子)が何者かに暴行されたうえ、惨殺されるという事件が発生してから、1年が経とうとしていました。柳子は38歳でしたが、あまりの恐怖に直面したためか遺体は総白髪になっていました。

高田馬場で探偵事務所を営む村田和子(鰐淵晴子)は、亡くなった夫の親友でもあった清水(西沢利明)から、彼の親戚でもある柳子の殺人事件を調査してほしいという依頼を受けました。殺人事件を担当した経験のない和子は当初、頼れる存在である謎多き名探偵・墨野隴人(三橋達也)の協力を得ようと考えていましたが、あいにく墨野は仕事で海外へ出かけてしまっていました。そこで和子は清水とともに二宮家へ。ところが、まるで和子の到着を待っていたかのように、二宮家に関わる人々が謎の怪死を遂げていきます。最初は、巨漢の運転手(大前均)。そして、二宮家に出入りしていた蝋人形師の伊藤(太刀川寛)、さらには美術商の稲村(天草四郎)まで……。

やがて、清水を通じて和子に調査を依頼してきたのは、柳子の妹(二宮さよ子)であることがわかりました。そして浮かび上がってくる、あの「四谷怪談」との奇妙な類似点。稲村や伊藤が殺されたのは、本当に「お岩さん」の祟りなのでしょうか。そんなとき、二宮家へやってきた新たなお手伝い・竹中糸子(加山麗子)。彼女は、清水がかつて愛した女性・佐久間静子とそっくりでした――。

 

あらすじを細かく読んでくださっている方はそんなにいらっしゃらないだろうと思いつつ、今回は敢えて、時系列などを多少、崩した形で書いてみました。2時間枠の時代よりも尺が短い作品のため、短時間にいろいろなことが起こります。それだけテンポの良い作品なのですが、提示される情報量も多く、観る側はグイグイと引き込まれていくことでしょう。

“怪談”というだけあって、不気味な描写も全編にわたって登場します。実際の冒頭は、柳子が殺害される様子から幕を開けるのですが、さすが“昭和”のドラマだけあって、なかなかエグいです……。

墨野隴人には三橋達也さん、村田和子には鰐淵晴子さんというキャスティング。三橋さんは本作の翌年から『土曜ワイド劇場』では“十津川警部”となるので、ある意味、本作での墨野役はかなりレアだといえるでしょう。また鰐淵さんの和子は(陰惨な事件に直面しているにもかかわらず)ちょっとコミカルな一面を見せており、墨野とも息が合っていたので、このコンビでシリーズ化が実現していたら、けっこう面白くなっていたかもしれません。

本作のクライマックスは、幻想的な演出が印象に残ります。四谷ならぬ新宿を舞台に、錯乱していく真犯人(ネタバレになるため伏せますが、すでにあらすじの中に登場しているので、予想してください)の姿にご注目ください。また、「お岩さん」の声として出演しているのは、当時『魔女っ子チックル』(78年)のチックル、『未来少年コナン』(78年)のモンスリーなどを演じていた、売れっ子声優の吉田理保子さん。劇中、どのタイミングで、どんな形で「お岩さん」が声を発するのかは、観てのお楽しみということで……。

 

それでは、また次回へ。3月の「違いのわかる傑作サスペンス劇場」では本作のほか、当コラムの第9回でご紹介した『消えた男』(監督:堀川弘通/出演:緒形拳、秋吉久美子、中条静夫ほか)、1980年の『傑作推理劇場』より『尊属殺人事件』(出演:辰巳柳太郎、浅茅陽子、浜村純、菅井きん、風見章子ほか)が放送されます。これらの作品群もぜひ、ご堪能ください。

 

文/伊東叶多(Light Army)

 

<放送日時>

『大東京四谷怪談』

3月8日(月)13:30~15:00

3月18日(木)21:30~23:00

3月26日(金)18:30~20:00

 

『消えた男』

3月5日(金)14:00~15:00

3月20日(土)12:30~13:30

 

『尊属殺人事件』

3月6日(土)12:30~13:30

2021年2月22日 | カテゴリー: その他
かめぽん

チューもく!! 雪景色が似合う。 健さんといえば、北の大地。

健さんといえば雪の中に佇む姿を思い出す。なんでだろう?
新幹線大爆破の犯人も、昭和残俠伝の渡世人も大好きな健さんなんだけど、なぜかかめぽんの中の健さんは雪の風景と一体化している。
網走番外地はあまり馴染みがないのだけど、八甲田山や動乱、あるいは他社の映画の印象なのかしら。
雪の中の健さん、絵になるなあ。
さてその健さんも亡くなって久しいが、今月から「生誕90年 高倉健特集」がスタート。
1回目は「網走番外地」特集。
たっぷりと11作品を放映。
雪の中の健さんが堪能できそう。
かめぽんもせっかくなので堪能しようと思う。

202102

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

うちの姪っ子が大好きな「劇場版『美少女戦士セーラームーンEternal』公開記念【映画 セーラームーンスペシャル Vol.2」←かめぽんはアメリカの玩具屋でセーラームーンの人気のすごさを実感した思い出がある、かめぽん世代ならリアルタイムな「キューティーハニー」も特集。
時代劇ではかめぽん大好きなハードボイルドな「忍者狩り」「十一人の侍」が。
先日NHKでリメイクされた「十三人の刺客」に通じる、理不尽な事に一分を貫く男たちが描かれる。
個人的には昭和歌謡が好きなかめぽんの一押しは「夜の歌謡シリーズ 伊勢佐木町ブルース」「夜の歌謡シリーズ 長崎ブルース」。
子供の頃、意味もわからずチャララチャラララッラ、あ〜ん、あ〜んと青江三奈さんの真似をしていたっけ。

今年もわくわくな東映チャンネルをよろしくお願いします。

2021年2月1日 | カテゴリー: かめぽん
その他

チューもく!! 東映テレビドラマLEGACY 第24回『極刑』

今月の「東映テレビドラマLEGACY」は、1982年11月に放送された「火曜サスペンス劇場」作品『極刑』をご紹介します。この作品は、推理作家・ノンフィクション作家の福田洋先生が1981年に発表した『極刑 女流デザイナー誘拐殺人事件』を原作として、映画『華麗なる一族』(74年)、『不毛地帯』(76年)など骨太な作品を手がけてきた山田信夫さんが脚本化し、近年も水谷豊さん主演の『無用庵隠居奉行』シリーズなどを担当している吉川一義さんが監督を務めた作品です。

『極刑 女流デザイナー誘拐殺人事件』の題材となったのは、1965年に新潟県で発生した「新潟デザイナー誘拐殺人事件」でした。ドラマ版『極刑』も、かなり事実に基づいた描写がなされていますが、事件の舞台は新潟県新潟市から、群馬県高崎市へと変更されていました。

 

ある晩、群馬県高崎市に住む若い女性・高森由利子(美池真理子)が何者かによって誘拐されました。犯人が高森家に対して要求してきた身代金は、なんと2000万円。由利子の母である信子(左幸子)は、息子夫婦(住吉正博/早川絵美)とも相談し、警察に連絡を入れました。早速、大勢の捜査員が配備される中、信子たちは身代金を犯人に渡すべく、高崎駅へと向かいます。ところが犯人は、信子に対し、電車に乗って、指定の地点で窓から金を投げ落とすよう、指示を変更。信子はこれに従いますが、緊張と焦りで、うまく電車の窓を開けることができず、金を投げ落とすことはできませんでした。

落胆する信子たち。警察は「身代金を手に入れるまでは、犯人は人質を手にかけないはずだ」と気休めを言いますが、その後、間もなく、由利子は遺体となって発見されました。しかも、解剖の結果、由利子は身代金の受け渡し時刻より前に殺害されていたことが判明。あまりにも残酷な犯人の手口に、このニュースを知った人々は戦慄します。高森家と付き合いのあった、中古車販売業を営む寺尾俊平(垂水悟郎)とツネ(草笛光子)の夫婦も、例外ではありませんでした。いえ、むしろ近しい間柄だけに、ツネはこの事件を、他人事とは思えないほど、心を痛めていたのです。

しかし、ツネにとって全く想定外の事態が待ち受けていました。なんと、ツネの息子である浩二(金田賢一)が、この事件の容疑者として逮捕され、犯行を自供したのです。寺尾家に向けられる、世間からの非難。それでもツネは、息子が犯人だとは思えませんでした。浩二を信じ続けようとするツネでしたが、接見しても、なぜか浩二は口を閉ざします。そして担当検事(佐古雅誉)はツネに、浩二の前で彼の妻(立石凉子)の名前を出さないように釘を差しました。妻の名前を出すと、浩二が取り乱してしまうから、だそうです。ツネは腑に落ちませんでしたが、これに従うことにしました。

やがて浩二は、裁判で極刑である「死刑」を求刑されます。これには世間も納得。しかしツネの思いは変わりません。そんなとき、浩二が公判中に突如として容疑を否認。彼が初めて語った事件の全貌は、かなり具体的なものでした。もし浩二の証言が事実なら、彼は誘拐にこそ関わっていたものの、あくまで主犯グループに脅迫され、命じられるままに動いていたことになります。果たして、浩二が言うところの「リュウ」、そして「高橋」という人物は存在するのでしょうか。息子の死刑を阻止すべく、ツネは執念の調査を続けますが――。

 

というわけで、「浩二が真犯人なのか?」という点が、物語の主眼です。ただ、あらすじにも記した通り、浩二の態度には当初、特に不審な点が多かったのです。そんな彼が容疑を否認し始めたのは、やはり死刑が怖かったのでしょうか、それとも……!?

現実の事件をベースにしたドラマだけに、登場人物も多いのですが、山田信夫さんの脚本と吉川一義監督の演出によって、どのキャラクターからも「人間味」が感じられます。それゆえ、逆に浩二という人物の特殊性が浮き彫りになってくる構造で、仮に現実の事件の顛末を知っている人でも、ラストの展開はぎりぎりまで読めないのではないでしょうか。約40年前には、このような、志の高さを感じさせる2時間ドラマが少なくなかったのです。

丁寧に作られた本作の白眉は、すべての裁判が終わった後、被害者の母と容疑者の母が視線を交わすシーンでしょう。本コラムの前々回で採り上げた『女の中の風』における山岡久乃さんと加藤治子さんもそうでしたが、本作も、草笛光子さんと左幸子さんという2人の大女優の芝居が、作品にさらなる深みを与えています。表情の演技だけで、2人が苦しんできた時間の長さや、当事者同士にしか分からない複雑な心境などが、一気に伝わってくるのです。うっかりすると見逃してしまうような短いシーンですが、ぜひ、ご注目ください。

 

浩二役を繊細に演じてみせたのは、あの400勝投手・金田正一さんの息子としても知られる金田賢一さん。当時はまだ21歳でしたが、前年(1981年)に出演した映画『連合艦隊』では永島敏行さんや中井貴一さんとともに主要登場人物を好演するなど、注目を浴びていた存在でした。誘拐事件の被害者役の美池真理子さんは当時20歳。後の「池まり子」名義での活躍のほうをよく覚えているという方もいらっしゃることでしょう。この他、刑事役には天田俊明さん、山岡徹也さん。弁護士役に福岡正剛さん。裁判官役に幸田宗丸さん、野口元夫さんと、要所要所にベテランが配されています。

それでは、また次回へ。2月の「違いのわかる傑作サスペンス劇場」では本作のほか、当コラムの第8回でご紹介した『魔少年』(監督:佐藤肇/出演:松尾嘉代、名古屋章ほか)、1980年の『傑作推理劇場』より『殺意』(原作:高木彬光/監督:野田幸男/出演:坂口良子、佐分利信ほか)、1979年の『土曜ワイド劇場』より『渓流釣り殺人事件~殺意の三面峡谷~』(監督:工藤栄一/出演:緒形拳、池上季実子、大坂志郎、夏樹陽子、西田健ほか)が放送されます。これらの作品群もぜひ、ご堪能ください。

 

文/伊東叶多(Light Army)

 

<放送日時>

『極刑』

2月2日(火)20:00~22:00

2月12日(金)13:00~15:00

2月28日(日)19:00~21:00

 

『魔少年』

2月5日(金)13:00~14:00

2月15日(月)14:00~15:00

 

『殺意』

2月11日(木)14:00~15:00

2月17日(水)14:00~15:00

 

『渓流釣り殺人事件~殺意の三面峡谷~』

2月19日(金)13:00~15:00

2021年1月28日 | カテゴリー: その他
かめぽん

チューもく!! あけましておめでとうございます。 今年は明るい年にしたい!

そんなことを願いながら迎えた新年。
かめぽんの住む関東圏は緊急事態宣言が再度出されそうな雲行き。年明けだ、明るく行こうと思っていたのだが、いきなりの訃報。東映時代劇ではお馴染みの福本清三さんが亡くなられた。福本さん、我が家では先生とお呼びする←「先生、お願いします」と言われ、主人公に立ち向かうがあっさりやられてしまう、そんな先生。かめぽんは祖母や父とよく時代劇を見ていたので、個性的な風貌で、派手に斬られる先生を愛して止まなかった。探偵ナイトスクープや徹子の部屋で有名になる前から、お、今日は先生出ていますかと先生チェックをしていた方はかめぽんだけではないはず。そんな愛される斬られ役。
最近はドラマでも度々お見かけし、お元気そうだなと思っていたのだが…
斬られ役が上手なほど、立ち回りが素晴らしく見える。時代劇の制作自体が少なくなる中、日本の文化を継承してくださる方がまた一人いなくなってしまった。本当に残念だ。

202101

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

未だ日々の活動が制限される新しい生活様式の中、そんな日々を慰めてくれるのはエンターテインメントだ。
どうか、鬱々とした日常を東映作品で晴らしてほしい。
今月もヒーローものからサスペンス、任侠、アニメ、時代劇など盛りだくさん。
「赤穂浪士」には吉良の付け人で福本さんもご出演されているぞ。討ち入りに向けての怒涛の展開でスカッとしてほしい。
泣いたり、笑ったり、ハラハラしたり、感動したり…
そんな作品を今年もお届けします。

今年もわくわくな東映チャンネルをよろしくお願いします。

2021年1月5日 | カテゴリー: かめぽん
その他

チューもく!! 東映テレビドラマLEGACY 第23回『女が見ていた』

今月の「東映テレビドラマLEGACY」は、1983年1月に放送された「火曜サスペンス劇場」作品『女が見ていた』をご紹介します。横溝正史先生の長編推理小説にも同タイトルの作品がありますが、こちらは脚本家・池田一朗先生による完全オリジナル。池田先生は1984年からは時代小説家・隆慶一郎としての執筆活動がメインとなるため、本作は脚本家専業としては晩年の仕事ということになります。監督は『Gメン’75』(75年)で、第1話をはじめとする傑作エピソードを多く手がけた鷹森立一さんが務めています。

 

1982年も、間もなく終わろうとしていました。都心の大手企業の庶務課に勤務している真山京子(泉ピン子)は、とても見栄っ張りな女性。それゆえ上司や同僚たちからも嫌われていたのですが、本人は「どこ吹く風」で、全く気にしていませんでした。

仕事納めの日、京子は冬に似つかわしくない格好で出社します。どうやら、彼女は年末年始をニューカレドニアで過ごすことを、周囲に自慢したかったようです。課長(長沢大)をはじめとする庶務課の面々は、そんな京子のことが鬱陶しくて仕方ないのですが、係長(河原崎長一郎)だけは、京子に対して優しく接していました。

さて――ここから京子の旅行が始まる……と思いきや、彼女の発言はすべてウソでした。倹約家でもある京子にとっては、海外で散財するなんて、あり得ないこと。同僚たちに見栄を張りたかっただけで、年末年始はマンションに引きこもって暮らすことを決めていたのです。約1週間、外へ一歩も出なくて済むよう、準備を済ませた京子。管理人(正司花江)にまでウソをついて、彼女の孤独な正月休みがスタートしました。

ところが不運なことに、京子の部屋のテレビが故障してしまいます。本格的な休みの初日にして、京子はヒマを持て余すことになりました。そんなとき、彼女は隣の住人・桑田友子宛てに届いた荷物を、代わりに受け取っていたことを思い出します。それは望遠鏡でした。京子は出来心で、望遠鏡を使って向かいのマンションの「覗き」を開始。すると、ある部屋で激しい「家庭内暴力」が行われているのを目撃したのです。

この「家庭内暴力」は、やがて殺人事件へと発展しました。「覗き」行為によって目撃者となった京子は迷った末、匿名で警察に電話します。「家庭内暴力の末、父親が息子を殺した」と。しかし、これは京子の誤認でした。警察が、当の野沢家へ確認に行くと、母親(高田敏江)と、“殺された”はずの息子(長谷川裕二)が出てきたのです。

警察をからかった、単なるイタズラかと思われました。しかし、警察が帰った後、それまで平静を装っていた母親と息子は、動揺を隠しきれなくなりました。なぜなら、被害者が異なっているだけで、「殺人事件」は実際に起こっていたからです。「父親が息子を殺した」のではなく、事実はその逆でした……!

 

目撃者である主人公・京子が、その「見栄」のため、名乗り出られないという状況。これが見間違えでなければ、おそらく事件はここで解決していたのですが、誤認だったことで、事態は予想外の方向へ展開していきます。「見られた」母子としては「目撃者」を見つけ出したいわけですが、「見られる」可能性は限られていますから、早い段階で、母子は方法が「覗き」であると確信。しかも、年末年始ゆえ、母子がターゲットを定めるには、それほど時間がかかりませんでした。

ある意味で「自業自得」とも言える“恐怖の日々”を送ることになってしまった主人公を当時35歳の泉ピン子さんが好演。1980年代に入り、主演作も増えていたピン子さんですが、本作の放送から3ヶ月後にスタートしたNHK朝の連続テレビ小説『おしん』(83年)への出演により、押しも押されもしないトップ女優としての地位を完全に確立したと言えるでしょう。本作では、京子が事件を目撃するまでの描写に時間が割かれており、前半はピン子さんの「一人芝居」を観ているような感覚に陥りますが、むしろ、その構成が本作の独特な面白さを生んでいました。

息子を溺愛する母親役の高田敏江さんは、さまざまなテレビドラマで母親役を演じてきたベテラン。本作に近い時期で言えば、やはり『3年B組金八先生』第1シリーズにおける宮沢保(鶴見辰吾)の母親役が印象的です。2020年もNHK BSプレミアム『すぐ死ぬんだから』に出演されるなど、健在ぶりを示しています。登場が後半のため、ストーリー紹介部分では触れられませんでしたが、本作の刑事役は藤巻潤さんと木村元さん。藤巻さんは同時期、夜7時台のアクションドラマ『魔拳!カンフーチェン』(83年)にも出演されていました。

 

それでは、また次回へ。1月の「違いのわかる傑作サスペンス劇場」では本作のほか、当コラムの第7回でご紹介した『観覧車は見ていた』(脚本:高久進/監督:鷹森立一/出演:市毛良枝、丹波哲郎ほか)、1981年の『火曜サスペンス劇場』より『ハムレットは行方不明』(原作:赤川次郎/監督:村川透/出演:宮崎美子、柴田恭兵ほか)、1984年の『土曜ワイド劇場』より『授業参観の女』(監督:野田幸男/出演:緒形拳、萬田久子、伊東四朗ほか)、1982年の『土曜ワイド劇場』より『透明な季節』(監督:藤田敏八/出演:芦川誠、石橋蓮司、中村嘉葎雄、中野良子、田村高廣、泉谷しげる、佐久田修ほか)が放送されます。これらの作品群もぜひ、ご堪能ください。

 

【1月の『刑事くん』(第2シリーズ)】

1月、ついに『刑事くん』(第2シリーズ)も最終回(第55話)を迎えます――。

 

第55話「限りなき希望の道へ」(脚本:長坂秀佳/監督:竹本弘一)

 

三神刑事の上司・時村(名古屋章)宛てに、脅迫電話がかかってきました。その電話をとった三神は、時村を危険な目に遭わせるわけにいかないと、自ら時村になりすまして、電話の主が指定した場所へ向かいました。すると、そこで射殺事件が発生。殺された人物が三神(時村)と間違われて被害に遭ったことは明白でした。脅迫者はどうやら、本気で時村の命を狙っているようです。三神はこのまま、自分が時村の身代わりになって、脅迫者に立ち向かうことを決意しました。

宗方刑事(三浦友和)の捜査により、脅迫者の正体が判明したころ、三神は再び、呼び出しを受けて指定された場所へと向かっていました。経緯を知った時村は三神を死なせるまいと、必死で三神の行方を追います。しかし、その思いも及ばず、三神は凶弾に倒れたのでした。

「退職」で終わった第1シリーズに続き、第2シリーズは「殉職」で終わるのか? ぜひ、映像で結末をお確かめください。

1971年9月にスタートした第1シリーズは1年間にわたって続き、同じく桜木健一さんが主演の時代劇『熱血猿飛佐助』(2クール)を挟んで、第2シリーズも1年間の放送となりました。実に2年半(正確には2年8ヶ月)もの間、桜木さんはTBS月曜夜7時30分~8時の「ブラザー劇場」枠で、主演として活躍したわけです。「ブラザー劇場」から生まれたドラマ作品の中でも、屈指の人気を誇った『刑事くん』だけに、ここで終わってしまってはもったいないと、関係者の誰もが当時、思ったはず。と、なると第2シリーズの結末も想像がつきそうですが、ここでは敢えて、はっきり触れないでおくことにしましょう。

それにしても、『刑事くん』は今年で放映開始から50周年なんですね。そうすると、2022年には『熱血猿飛佐助』も50周年を迎えます。そろそろ観たいところなんですが、どうにかならないでしょうか……?

文/伊東叶多(Light Army)

 

<放送日時>

『女が見ていた』

1月8日(金)11:00~13:00

1月12日(火)20:00~22:00

1月26日(火)22:00~24:00

1月29日(金)13:00~15:00

 

『観覧車は見ていた』

1月15日(金)13:00~15:00

1月26日(火)20:00~22:00

 

『ハムレットは行方不明』

1月1日(金)13:00~15:00

1月19日(火)20:00~22:00

 

『授業参観の女』

1月9日(土)17:00~18:50

1月22日(金)13:00~15:00

 

『透明な季節』

1月8日(金)13:00~15:00

1月16日(土)17:00~19:00

 

『刑事くん』(第2シリーズ)

1月4日(月)18:00~18:30 最終回放送!

再放送:毎週金曜日7:00~8:00(2話ずつ放送/1月15日にて終了)

2020年12月25日 | カテゴリー: その他