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その他

チューもく!! 東映テレビドラマLEGACY 第8回『魔少年』

今月の「東映テレビドラマLEGACY」は、『傑作推理劇場』より、1980年作品『魔少年』をご紹介します。『傑作推理劇場』とは、1980年の夏期にテレビ朝日系の平日22時枠で2週間にわたって全10話が放送された、各回1時間のドラマシリーズです。原作として選ばれたのは、著名ミステリー作家による佳作ばかり。この試みは好評を呼び、翌1981年にも、同時期に全11話が放送されました。さらに1982年1月から4月にかけても、『春の傑作推理劇場』と題して、今度は毎週木曜夜9時枠で全11話を放送。各回の製作は東映をはじめ、松竹、三船プロダクションなどが手がけていました。

1980年と1981年の夏期、『特捜最前線』の放送に2週ずつブランクがあるのは、この『傑作推理劇場』が編成されていたためです。当時のテレビ界では、いまと比べて特番が少なかったため、22時台のドラマなどは年末年始を除いて休みなく毎週オンエアされていました。『特捜』スタッフは、この編成によって、わずかながらも貴重な「夏休み」がとれたのではないでしょうか。

 

さて『魔少年』です。原作は、森村誠一先生の短編。映像化を手がけたスタッフは、まず脚本が、東映の劇場映画を数多く担当してきた神波史男さん。本作の前年には、村川透監督の『白昼の死角』のほか、共同脚本で『総長の首』(監督:中島貞夫)、『その後の仁義なき戦い』(監督:工藤栄一)にも参加していました。そして監督は佐藤肇さん。映画では主にSFやホラーといったジャンルで活躍されましたが、テレビ『キイハンター』や『特捜最前線』でも、印象に残る傑作エピソードをいくつも世に送り出しています。音楽を、佐藤監督との相性が良い菊池俊輔さんが担当している点も注目ポイントでしょう。

 

東京都・板橋区にある「城西第五小学校」。あるクラスで、ガキ大将の大野くん(大栗清史)の行動が問題になっていました。往来の激しい道路で信号を無視する「横断遊び」などは、一つ間違えれば大事故につながるもの。優等生の息子・正夫(中越司)を持つ主婦・相良牧子(松尾嘉代)は、そんな大野少年の存在を苦々しく思っていました。

牧子の夫(名古屋章)は会社を経営しており、相良家は裕福な家庭でした。牧子は息子の教育にも力を入れており、若い家庭教師(荒谷公之)も雇っていましたが、正夫はなかなかクラスで1番の成績をとれませんでした。ただ、どの教科でも2位につけており、正夫は大野少年とは対照的に、クラスの人気者でもありました。

そんなある日、また大野少年がクラスで問題を起こしました。担任の教師(森本レオ)が問い詰めますが、本人は否定するばかり。いよいよPTAも学校に対して「然るべき対応」を求め始めます。しかし、一連の問題行動の裏には、誰も想像していなかった意外な真実が隠されていたのでした――。

 

1時間ドラマゆえ、実際の本編尺は45分程度。原作自体も短編に分類される作品ではありますが、本作の中身はギュッと詰まっています。2時間ドラマとしても通用する内容を1時間に凝縮している、といった感じでしょうか。キャストも豪華で、1シーンしか登場しないキャラクターたちにも注目していただきたいところです(これはこの時期の作品に共通の特徴とも言えますね)。

ネタバレを避けつつの表現になりますが、タイトルの<魔少年>とは誰を指すのか。何をもって<魔少年>とされるのか。そして「彼」が<魔少年>となってしまった原因とは、果たして何なのか……。ぜひ、みなさんの目で確かめてみてください。

 

キャストについての補足。PTAのひとりとして大川栄子さんが出演されていますが、これは明らかに、佐藤肇監督との『キイハンター』からの縁でしょう。『キイハンター』では大川さんが演じる“ユミちゃん”をメインにした、ちょっと異色なホラー編やコメディ編を佐藤監督がよく手がけていました。こちらも東映チャンネルで放送中の作品なので、併せてチェックしていただけるとうれしいです。

優等生の正夫を演じたのは、中越司さん。子役を経て、後に舞台美術家としてデビュー。蜷川幸雄作品の舞台美術を多く担当し、高い評価を受けました。「大映ドラマ」などで活躍した女優・比企理恵さんの夫でもあるそうです。

このほか、敢えて詳しくは書きませんが、<サイボーグ009><西部警察><王貞治選手><ワールドスタンプブック><ダイデンジン(電子戦隊デンジマン)><大鉄人17(ワンセブン)>などのワードを頭に入れて視聴すると、一部の世代の方は、より本作をディープに楽しめることでしょう。まぁ、『西部警察』の部分については、「そこは『西部~』じゃなく『特捜最前線』にするべきでしょ!」とツッコミを入れたくなってしまうのですが、クライマックスでの「ある展開」への布石だと考えると、確かに『西部警察』が正解だったのかもしれません。う~む、作品を観ないとなんのこっちゃ分からない文章になってしまい、ひじょうに申し訳ないのですが、ご覧になれば、「なるほど、コイツはこのことが言いたかったのね」と、ご理解いただけるはずです……。

なお『魔少年』は後に、『土曜ワイド劇場』枠でも1985年に映像化されます。こちらも東映の製作なので、いずれ両作を見比べる機会がめぐってくるのを期待しつつ――。

 

それでは、また次回へ。なお、10月の「違いのわかるサスペンス劇場」では、本作のほか、同じく『傑作推理劇場』1980年作品より、『殺意』(原作:高木彬光、出演:坂口良子、佐分利信ほか、監督:野田幸男)も放送されます。『土曜ワイド劇場』の1980年作品『映画村殺人事件』(原作:山村美紗、出演:田村正和、夏純子、西村晃ほか、監督:中島貞夫)も久しぶりの放送ですね。これらの作品群もぜひ、ご堪能ください!

 

文/伊東叶多

 

 

<放送日時>

『魔少年』

10月5日(土)13:00~14:00

10月12日(土)14:00~15:00

10月26日(土)13:00~14:00

 

『殺意』

10月5日(土)14:00~15:00

10月12日(土)13:00~14:00

10月26日(土)14:00~15:00

 

『映画村殺人事件』

10月19日(土)13:00~15:00

2019年9月24日 | カテゴリー: その他
かめぽん

チューもく!! 蘇る名作の数々、4Kレストア版太陽の王子ホルスの大冒険

東映動画のアニメーターさんがモデルの朝ドラも9月で終了。当時、東映動画のアニメは本当に凄かったと実感している。若い方々にもぜひ観ていただきたいので今月の特集は必見。
ジブリ作品の原点のような「太陽の王子ホルスの大冒険」、八岐大蛇の描き方が秀逸な「わんぱく王子の大蛇退治」、東映長編映画第二作目の「少年猿飛佐助」の3本、すべて4Kレストア版で放映。

 

201909

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
で、イラストの方は誰?

答えは女優の大方斐紗子さん。ホルスの声をあてていた方だ。最近、某民放のサスペンスドラマにもご出演されていたのであれ?と思う方もいるはず。ホルスではヒロイン役で市原悦子さん、敵役で平幹二朗さんなどが声の出演をされていた。
かめぽんが青春期にアニメブームだったのだが、当時ビデオは高価で、いまのように多チャンネルでもなく、上映会でしかホルスを観ることがかなわなかった。
「すごいアニメがあるんだよ」と友人から聞いていたかめぽんは、大人になってからやっとホルスに出会え、感動した。
この時代に、こんな素晴らしい作品を作ってくれて、ありがとう!と。
本特集ではレストア版の修復作業の模様と関係者の証言、資料などをまとめた「最新技術で甦る!東映動画名作アニメーション」も放映。大方斐紗子さんと小田部羊一さんが出演される。小田部さんはかめぽんが愛してやまないポケモンのアニメーション監修をずっとされているし、初期のカルピス名作劇場の作画監督などもされていた。かめぽんの大好きな作品を作り続けてくださった方(ゲームを含む)。拝見するのがとても楽しみな1本だ。

今月は「孤狼の血」の東映初放送を含む「『孤狼の血』を10倍楽しむための実録アウトロー映画特集」や、「セントラル・アーツの軌跡 Vol.11~角川ハードボイルド~」など実写はハードボイルドテイスト。
アニメは「東映動画 名作アニメ劇場」の他に、今回は「女の子アニメ大集合!」。
なかでもマコちゃんには毎回心をぎゅっとつかまれていたかめぽん。1作目の放映は個人的にも楽しみだ。
他にも、時代劇、特撮、80年代アイドル映画特集など、バラエティゆたかに今月もお届け。

今月も、わくわくな東映チャンネルをお見逃しなく〜

2019年9月1日 | カテゴリー: かめぽん