その他

チューもく!! 東映テレビドラマLEGACY                第16回『運命の旅路』

今月の「東映テレビドラマLEGACY」は先月と同じく1980年の「土曜ワイド劇場」作品より、11月の「ゴールデン推理」第3弾として放送された『運命の旅路 謎の特急出雲1号』をご紹介します。原作は、1966年に「殺人の棋譜」で第12回江戸川乱歩賞を受賞された斎藤(本作のクレジットでは「斉藤」)栄先生が1978年に発表した作品です。この作品の後、斎藤先生は「運命の死角」(79年)、「運命の青春」(81年)を発表。「運命の旅路」と合わせて「運命三部作」と位置づけているそうですが、それぞれの物語に、特につながりはありません。「土曜ワイド劇場」では「運命の死角」のほうが先に映像化され、本作の約2ヶ月前、『35年目の亡霊 学童疎開殺人事件』というタイトルで放送されました。こちらは東映ではなく、東通企画の製作。脚本・佐々木守、監督・真船禎という興味深いスタッフによる作品なので、機会があれば、観てみたいものです。

 

中年にさしかかった男と、若い女が、ドライブデートで湖へやってきました。男は、明正大学医学部の助教授になったばかりの斑目英夫(河原崎建三)。女は、明正大学文学部の学生・山崎和子(竹井みどり)でした。

2人は男女の関係で、和子は英夫に対して、結婚を迫っていました。「大学教授夫人になるのが夢だった」と、無邪気に話す和子。しかし、どうやら彼女は恋愛感情というより、割り切って地位のほうを重要視したようです。英夫にしてみれば、学生との結婚にはリスクがありました。自分の将来に関わるので、穏便に別れたいと思っていたようですが、和子はそれを許そうとしません。そこで英夫は、完全犯罪を成功させるために、和子を湖まで連れてきたのでした。ボートから和子の死体を湖に沈めた英夫。彼の目的は、達成されたかに思われました。

しかし、英夫が自宅へ戻ると間もなく、医学部の学生・雲井孝一(山本茂)が訪ねてきました。なんと孝一は和子の恋人で、英夫と和子のドライブを、こっそり追いかけていたのです。当然、英夫が犯行に及ぶところも、和子の死体を捨てるところも目撃。怒りがおさまらぬまま、孝一は英夫のところへ押しかけたのでした。

孝一は、英夫を脅迫します。最初は一千万円、2回目も一千万円、さらに今度は二千万円……。さすがに英夫も、いつまでも孝一の言うことを聞いていられなくなりました。ただ、孝一にしてみれば、お金が目的というより、恋人を奪われた怒りと恨みのほうが強いようです。追いつめられた英夫は、孝一も殺してしまおうと考え始めました……。

 

ここまでが本作のプロローグです。主演キャストは高峰三枝子さんと丘みつ子さんなのですが、オープニングのタイトルバックまでは2人とも一切、登場しません。初期の2時間ドラマらしい構成と言えるでしょう。後に、いわゆる「シリーズもの」が増えると、視聴率対策として、「おなじみのレギュラーたち」は冒頭から何らかの形で画面に登場することを余儀なくさせられていきます。それはそれで正しいアプローチではありますが、サスペンスとしての緊迫感を出すうえでは、本作のような導入のほうが相応しいのではないでしょうか……。あくまで、一個人の意見ではありますが。

さて、雲井孝一には旅行という趣味がありました。亡くなった雲井画伯の息子である孝一は、医学部に在籍しているものの、本来は医者になりたくなかったようです。姉・寿江(丘みつ子)は父がやっていた画廊を引き継ぎ、孝一の学費なども面倒を見てきました。寿江の心配をよそに、孝一はまた旅行へ行ってくると言い出します。彼は高名な旅行評論家である望月綾子(高峰三枝子)に憧れており、綾子のような紀行文が書きたいと思っていました。そこで孝一は大胆にも、パーティに出席していた綾子に直接、「自分の旅のアイデアを聞いてほしい」と申し出ました。一瞬、怯んだ綾子でしたが、意外と親切に、孝一の相談に乗りました。綾子のアドバイス通りの旅をすることを決め、出発した孝一。しかし彼は数日後、他殺死体で発見されることになります。それも、なんと寿江の部屋で……。

当然ながら、寿江は困惑します。旅行中も、元気な声で電話をくれていた孝一が、なぜ殺されてしまったのか。孝一が、恋人を殺した英夫を脅迫していたことも知らず、事件の謎を解くべく、まずは孝一が旅したルートをそのまま辿ってみようと考えた寿江。出発する前に孝一が綾子に相談していたことを知り、寿江は綾子と接触しますが、綾子もまた責任を感じたようで、忙しい仕事の合間を縫って、寿江と同行することを決めました。自分の旅行の知識が、謎の解明に役立つのではないかと考えたからです。

こうして寿江と綾子は、ちょっと不思議な二人旅に出ました。綾子の協力によって、孝一が殺されるまでの行動が、次第に判明していきます。そんな中、孝一とたびたび電話で話していたという、謎の女性の存在も浮かび上がってきました。それは、いったい誰なのでしょうか。まさか、殺されたはずの和子が生きている!? そして、(視聴者側からすれば)最も怪しい存在の英夫もまた、寿江と綾子の行動をひそかにマークしていて……。

 

山陰・山陽地方へのロケーションを敢行。物語の焦点は、「寿江と綾子が孝一の足取りを辿っていく」部分です。英夫を脅迫していたとはいえ、寿江にとっては、孝一はかけがえのない、たったひとりの弟。なんだか、観ていると冒頭で英夫に殺された和子がいちばん悪女のようにも思えてくるのですが、そんな部分も含め、「人間にはいろいろな顔がある」というのが、本作のテーマかもしれません。やがて判明する、意外な真犯人(=英夫の共犯者)の正体とは? 犯人側がアリバイを作るために仕組んだ、ある大胆なトリックについても注目です。ちなみに、タイアップ先として劇中に登場する山口県・湯田温泉の「ホテルかめ福」は現在、建て替え工事のため休業中。予定では2021年11月に再オープンし、ホテルの名称自体も変更されるそうです。

あらすじ部分に登場しなかったキャストとしては、捜査チームの中心的存在である万代警部役に関口宏さん。その他、捜査班の顔ぶれには鈴木瑞穂さんや相馬剛三さんがキャスティングされています。綾子に原稿を発注している旅行雑誌の編集長役は井上昭文さん。孝一が宿泊した旅館の女将役は、当時すでに『ドラえもん』の声優として高い評価を得ていた大山のぶ代さんが演じていました。また、ホテルマン役で出演している轟謙二さんは、本作のロケコーディネーターも兼任されていたものと思われます。

 

それでは、また次回へ。なお、6月の「違いのわかるサスペンス劇場」では本作のほか、1987年の『現代恐怖サスペンス』より『向田邦子の鮒』(監督:吉川一義/出演:井上順、香山美子ほか)、1994年の『愛と疑惑のサスペンス』より『レベル7~空白の90日~』(原作:宮部みゆき/出演:浅野ゆう子、平幹二朗、永作博美ほか)も放送されます。これらの作品群もぜひ、ご堪能ください!

文/伊東叶多

 

<放送日時>

『運命の旅路』

6月6日(土)13:00~15:00

6月11日(木)20:00~22:00

6月17日(水)22:00~24:00

6月20日(土)13:00~15:00

 

『向田邦子の鮒』

6月13日(土)13:00~14:00

6月27日(土)14:30~15:30

 

『レベル7~空白の90日~』

6月13日(土)14:00~15:30

6月27日(土)13:00~14:30

2020年5月18日 | カテゴリー: その他
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チューもく!! ステイホーム、いまこそ映画の力を見せつけよう

いつもなら浮かれて楽しいゴールデンウィーク。今年はそうも言っていられない。何度も耳にしたであろう、ステイホーム。おうちにいよう。かめぽんもお仕事以外は食品の買い出しと、体力維持のための近所の散歩以外家にいる。朝からザ・スーパーガールを観ながら家事をしたりしている。かめぽん、リアルタイムではこの番組を知らなかった。出演されている方々が懐かしく、そして昭和なお色気(笑)を楽しんでいる。
ちょっともやもやした気持ちを抱えた5月、かめぽんはこころ惹かれる特集を発見。「時代劇で学ぼう!春の交通安全スペシャル」。なんですか、これ(笑)すごく興味がある黄門さまが、お奉行さまが、交通ルールを教えてくれるのだ。「水戸黄門のお年寄りの交通安全」「大岡越前のお年寄りの交通安全」「鞍馬天狗のお年寄りの交通安全」「かげろうお銀のお年寄りの交通安全」の4本立て。わくわくするではないか。なかなか観る機会のない作品、楽しみたい。

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今月も極妻に麻雀放浪記、ライダー特集に「追悼特別企画 俳優・梅宮辰夫 Vol.3」、サスペンスに時代劇、アニメも。時代劇ではかめぽん大好きな新選組特集もあるぞ。千恵蔵、右太衛門両御大の近藤勇は迫力満点。見比べるのも楽しい。「東映動画 名作アニメ劇場」で放映の「サイボーグ009(劇場版) 4Kリマスター版」も楽しみ。「赤いマフラー、なびかせて〜♪」な主題歌は大好きなのだが、映画版を観るまでユニフォームの色が実感できなかった。だって、モノクロテレビだったから(TV版もモノクロ制作だったし)。あー、こういうカラーリングなんだ!と子供心に納得した思い出が(笑)

今月もわくわくな東映チャンネルをお見逃しなく〜

2020年5月1日 | カテゴリー: その他
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チューもく!! 東映テレビドラマLEGACY 第15回 『華やかな死体』

不安な日々が続く中、みなさまはいかがお過ごしでしょうか……。

かつて、「♪なんでもないようなことが~」というフレーズが印象的なヒット曲がありましたが、まさに「当たり前」のことを普通にやれていた日常が懐かしくなっている今日この頃。人類が長いトンネルを抜けるのがいつの日になるのか分かりませんが、そう遠くない将来、また「当たり前」の日々を取り戻せることを祈りつつ――。

今月、ご紹介するのは1980年の「土曜ワイド劇場」作品より、9月の「競作推理シリーズ」第2弾として放送された『華やかな死体 赤い花は殺人予告』です。原作は、佐賀潜先生による第8回江戸川乱歩賞受賞作(戸川昌子先生が同時受賞)。作品が発表されたのは、1962年でした。佐賀先生ご自身は、検事、弁護士を経て作家となった人物。1970年に56歳の若さで逝去されたため、若い世代にはなじみのない存在かもしれません。筆者個人で言うと、「必殺」シリーズの『助け人走る』(73年)で、原案として「清兵衛流極意~明治泥棒物語~」という作品がクレジットされているのですが、その著者が佐賀先生で、佐賀潜=「さがせん」という名前(ペンネーム)が印象に残っていた程度でした。とはいえ、60年代は小説のみならず法律入門書の類でもヒットを連発。もし70年代以降もご存命で、活躍を続けていれば……と悔やまれます。監督は、大映京都を経て、70年代以降はテレビドラマを中心に活躍している池広一夫さん。1990年にスタートした「土曜ワイド劇場」の『終着駅シリーズ』は、「土ワイ」が2017年に終了してからも継続しており、本年=2020年1月に放送された最新作(シリーズ第36作)も、池広監督が手がけました。昨年=2019年で90歳ということに驚かされます。なお、脚本の石松愛弘さんは、池広監督の義弟にあたります。

 

ある夜、食品会社「三協食品」の社長を務める柿本高信(相原巨典)が自宅で何者かに殺害され、連絡を受けた埼玉地検の検事・城戸明(竹脇無我)が現場へと急行しました。第一発見者は、柿本の息子である富美夫(織田あきら)。凶器は現場にあった青銅の花瓶と思われ、犯人のものらしき指紋も残されていたことから、事件は遠からず解決するだろうというのが、捜査関係者の見込みでした。

やがて、埼玉県警・浦川署の津田刑事(織本順吉)の丹念な捜査もあって、かつて柿本の秘書を務めていたが、柿本の妻・みゆき(赤座美代子)と不倫関係になったことがバレて秘書をクビになり、現在は金融会社「深町商事」の営業部長となっている人見十郎(長谷川明夫)が有力容疑者として浮かび上がりました。津田刑事は指紋のみならず、毛髪などの証拠も慎重に押さえて、ついに人見は逮捕されました。

捜査の手続きなども問題なく、これで一件落着と思われました。担当検事の城戸は上司(内藤武敏)から、近いうちに栄転の話があると聞かされていたこともあり、より一層、この事件に力を入れて取り組んでいました。

ところが……人見の弁護人として、有名な大物弁護士・山室竜平(佐藤慶)がやって来たことから、風向きが変わり始めます。山室に依頼したのは、人見が働いていた深町商事の社長・深町源造(金子信雄)でした。山室クラスの弁護士が動き出したこと自体、埼玉地検側にとっては不可解でしたが、依頼主が深町だというのも謎でした。いったい。この事件を担当することで深町や山室に何のメリットがあるのか!?

そして、浦川地裁で始まった裁判では、事件関係者が次々と、取り調べ段階での証言を翻していきます。さらに、人見にとって有利な証言も次々と出てきました。料亭の女将・峯島たつ(弓恵子)や、花屋の女主人(吉野佳子)によるアリバイ証言などは、もはや決定的でした。どう考えても、犯人は人見に間違いないはずなのに……。

公判が重ねられた末、裁判長が述べた判決は、城戸たちにとって無情とも言えるものでした。

 

……と、ここまでストーリーを書いても、ここから先もきっと、面白く観られるはず。それだけしっかりした構成で、さすが法廷経験が豊富な佐賀先生の作品、という印象です。ただし、2時間ドラマとしての映像化にあたり、細部はかなり変更されている模様。原作では容疑者を絞るまでのプロセスにも紙数が割かれていますが、ドラマ版では、城戸VS山室の法廷勝負を際立たせるため、全体のバランスに手が加えられています。この改変は、成功していたと言えるでしょう。また、細かい点では、主人公・城戸のイメージも原作とドラマでは少々、異なっています。ドラマ版の城戸は演じるのが竹脇無我さんということもあり、最初から「頼れる」印象が強いのですが、そのことが逆に、後半で逆襲されていくくだりを印象づけているとも言えるので、この点も、巧い改変だったのではないでしょうか。

唯一、ラストについては、2時間ドラマというジャンルの「限界」を示しており、不満が残る視聴者も多いかもしれませんが、原作とはまた違った余韻が残るので、これはこれで「アリ」と言っておきたいです。正直なところ、あと10~15分くらい尺が欲しかったところですが……。

本作のキャストは、渋い実力派揃い。とりわけ、大物弁護士に佐藤慶さん、サラ金会社の胡散臭い社長に金子信雄さん、といったあたりは絶品です。こんな曲者が手を組んだら、正統派の二枚目にして美声の持ち主・竹脇無我さんもタジタジでしょう。

マニアックなポイントとしては、裁判での峯島たつの証言内容にご注目ください。ちょっと唐突な証言なので、思わず笑ってしまう方もいらっしゃるかも?

 

それでは、また次回へ。なお、5月の「違いのわかるサスペンス劇場」では本作のほか、1986年の『山村美紗サスペンス』より『死人が夜ピアノを弾く』(脚本・監督:中島貞夫/出演:松方弘樹、松尾嘉代、宅麻伸、西田健ほか)、1992年の『不思議サスペンス』より『姿のない尋ね人』(監督:崔洋一/出演:古尾谷雅人、黒田福美、内藤剛志ほか)も放送されます。これらの作品群もぜひ、ご堪能ください!

文/伊東叶多

 

<放送日時>

『華やかな死体』

5月2日(土)13:00~15:00

5月16日(土)13:00~15:00

5月30日(土)13:00~15:00

 

『死人が夜ピアノを弾く』

5月9日(土)13:00~14:30

5月23日(土)14:00~15:30

 

『姿のない尋ね人』

5月9日(土)14:30~15:30

5月23日(土)13:00~14:00

2020年4月14日 | カテゴリー: その他
その他

チューもく!! 男の色気を漂わす、危ないおじさま 津川雅彦

新型コロナウィルスの影響で世界的に外出もままならない昨今。せめて、家の中でスカッとする、気持ちが上がる作品をご覧いただけたら。見えない敵と対峙する不安、仕事や買い物で外出するときに常に感じます。どうか、手洗いを徹底し、おうちにいるときくらい、ホッとなごんで、緊張したこころを解してください。

さて、津川雅彦さん。かめぽんの叔母がファンで、マルベル堂のブロマイドが家にあったっけ。若くてギラギラした感じの濃い顔の方だなと、若きかめぽんはそのブロマイドを見て思ったっけ。
匂い立つ色気…男性にそう感じる方は少ないのだけど、津川さんにはそんな香りがする。今月の特集「愛とエロス 渡辺淳一の世界」で放映する4作品中3作品に出ていらっしゃる。
今時こんな男性は非難の的になるであろう、奔放な恋愛観を持つ男、それを津川さんが演じるとどこか憎めないのが不思議だ。かめぽん個人的にはお年を召した津川さんの方が好きで、相棒の瀬戸内米蔵役が印象に残る。カメラやゴジラ、ウルトラマンまで特撮にも意外とたくさん出演されていた。
ちなみに、お兄様の長門裕之さんは今月放映の「スケバン刑事」シリーズに出ていらっしゃるので併せてご覧いただきたい。

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今月も「麻雀放浪記スペシャル」や「追悼特別企画 俳優・梅宮辰夫 Vol.2」の他、ドラゴンボール世代からは外れているかめぽんにはぴったりの「Dr.スランプ アラレちゃん 映画版スペシャル」(空豆クリキントンが大好きだ)。「仮面ライダー スペシャル」は松平健さんの将軍さまも出演の「劇場版 仮面ライダーオーズ WONDERFUL 将軍と21のコアメダル ディレクターズカット版」も放映されるのでお子様とおじいちゃんおばあちゃんも一緒に楽しめるぞ。もちろん、いつものように時代劇から任侠映画、アニメ特撮まで幅広くラインナップ。
いろいろ不安や我慢が続く今、映像の中ではのびのびと楽しんでいただきたい。

今月もわくわくな東映チャンネルをお見逃しなく〜

2020年4月1日 | カテゴリー: その他
その他

チューもく!! 東映テレビドラマLEGACY 第14回『不安な階段』

春・4月。本来なら、新年度の明るいムードに包まれた季節なのですが、今年ばかりはそうもいかず、悶々とした毎日を過ごしている方も多いと存じます。そんなときこそ東映チャンネル……と言うと不謹慎かもしれませんが、新旧さまざまな東映作品をご覧いただき、しばしフィクションの世界へ旅していただければと思っています。

さて今月は、いよいよ一連の『傑作推理劇場』シリーズでは最後の放送作品となる、『不安な階段』をご紹介します。本作が放送されたのは、1982年4月15日。『春の傑作推理劇場』全体としても、本作が最終回でした。当時と同じく、今回は4月の放送ということで、それを念頭に置いてご視聴いただくのも一興でしょう。原作は夏樹静子先生の『階段』。監督は『不良番長』シリーズ(68~72年)などを経て70年代後半からは本格的に活躍の場をテレビへと移行し、当時は『特捜最前線』(77~87年)のローテーションの一翼を担っていた野田幸男さんでした。82年1月~3月期だけでも『特捜』を4話分、手がけています。

 

ブティックを経営している36歳の美しき未亡人・芳村杏子(浜木綿子)には、小学6年生になる長女・ユキコ(仙道敦子)がいました。仕事が忙しいため、家事はお手伝いの郷田君枝(乙羽信子)がこなしていました。杏子と同じく夫を亡くしている君枝はとてもおしゃべりな性格で、何かと言えば亡き夫の自慢話をするのですが、杏子とはウマが合っているようで、芳村家は一見、幸せな様子でした。

しかし、まだじゅうぶんに若い杏子は、新しい恋をしていました。相手は、ブティックの経理関係を任せている北島哲夫(荻島真一)。ある夜、哲夫は杏子を家まで送り届けると、そのまま杏子の家で仕事の続きをやりたいと言い出しました。杏子は複雑な年頃のユキコのことを慮り、哲夫を帰そうとしますが、彼は動こうとしません。結局、ユキコを寝かしつけた後、哲夫と杏子は情事に及びます。翌朝、杏子が部屋を出ると、部屋の前には、ユキコのヘアピンが落ちていました。ユキコに自分たちのことを知られたのかもしれないと、動揺する杏子。しかし哲夫のほうは平然としていました。

間もなく、杏子は店へと出勤。ユキコも小学校へと登校しますが、哲夫はそのまま、家に残って仕事を続けました。その日の午後、杏子は警察から電話を受けて驚きます。なんと、哲夫が芳村家の階段から転落し、死亡したというのです。杏子は、母親であるにもかかわらず、咄嗟にユキコのことを疑ってしまいました。哲夫が死亡したと思われる時刻、ユキコはすでに下校し、家に帰っていた可能性があるのです……。

 

というわけで、物語の焦点は「哲夫の死は事故なのか、あるいは他殺なのか」に絞られていきます。そして他殺だとした場合、犯人は誰なのか? 動機がありそうなのはユキコですが、そう思っているのは母の杏子だけですし、それどころか、その動機が間違いなければ、自分にも大きな責任があることになり……。母親であるとともにひとりの女性でもある杏子の複雑な心情を、浜木綿子さんが見事に表現されていました。

そして、本作のもうひとりの主人公といえるユキコを演じたのが子役時代の仙道敦子さんです。整った顔立ちには、すでに現在(50歳!)の仙道さんの面影が、はっきりとあります。撮影当時、仙道さんは実際に小学6年生でしたが、年齢よりも少し大人っぽい雰囲気を醸し出しており、今回の役柄にはピッタリなイメージだったと思います。本作の前年、テレビ朝日の『判決-生きる』(81年)にレギュラー出演した仙道さんは、その演技力を認められ、1982年には『鬼龍院花子の生涯』(6月公開)、『大日本帝国』(8月公開)という東映の大作2本に立て続けに出演。まさに、ブレイク前夜でした。結婚後、90年代の中盤からは芸能活動をほぼ休止されていましたが、2018年に本格復帰。NHK朝の連続テレビ小説『なつぞら』(19年)への出演は、記憶に新しいところでしょう。

キャストでもうひとり、触れておきたいのが君枝役の乙羽信子さんです。君枝がお手伝いとして働いている芳村家で発生した事件(事故?)なので、当然ながら、君枝もキーパーソンのひとりです。彼女が事件について何を知っているのか……は本編をご覧いただくとして、当時の乙羽さんといえば、星野知子さん主演でスペシャルドラマが計8作にわたって放送された『サザエさん』(81~85年)で、フネ役を演じていました。そして、驚異的な視聴率を獲得したNHK朝の連続テレビ小説『おしん』(83年)では、主人公・おしんの中年~老年期を担当。還暦を前に、女優としてノリにノッていた時期と言えるでしょう。

タイトルの『不安な階段』とはもちろん、哲夫が死亡する原因となった、芳村家の階段のこと。この階段、もともと手すりがなく、見るからに危険な作りになっていますが、なぜそんな階段なのかは、劇中で説明が加えられています。とはいえ、それにしても、もっと早く(ユキコが幼いうちに)手すりをつけておくべきだったのではないかと思ってしまいますが、そういうツッコミは野暮というものでしょう。なお、この点が気にかかる方はきっと、結末についても若干「?」となりそうですが……。

また杏子が経営するブティックとして撮影に使用されているのは、クレジットによれば「ミレーヌ友田」の直営店舗のようです。「ミレーヌ友田」は70年代に創業し、80年代にパーティードレスやフォーマルドレスの分野で一時代を築いたブランドでした。

 

それでは、また次回へ。なお、4月の「違いのわかるサスペンス劇場」では本作のほか、1980年の『土曜ワイド劇場』より『京舞妓殺人事件』(監督:牧口雄二/脚本:大和屋竺/出演:長門裕之ほか/東映チャンネル初放送)、1993年の『サスペンス・明日の13章』より『変身 もう一人の私』(監督:黒沢直輔/脚本:信本敬子/出演:伊藤かずえ、蟹江敬三、石濱朗ほか)、1988年の『京都サスペンス』より『マルゴォの杯』(監督:山下耕作/脚本:橋本綾/出演:岩下志麻、奈良岡朋子、石橋蓮司ほか)も放送されます。これらの作品群もぜひ、ご堪能ください!

 

文/伊東叶多

 

<放送日時>

『不安な階段』

4月4日(土)13:00~14:00

4月11日(土)14:00~14:50

4月19日(日)15:00~16:00

 

『京舞妓殺人事件』

4月4日(土)14:00~15:50

4月18日(土)14:00~15:50

4月25日(土)13:00~15:00

 

『変身 もう一人の私』

4月5日(日)15:00~16:00

4月18日(土)13:00~14:00

 

『マルゴォの杯』

4月11日(土)13:00~14:00

4月25日(土)15:00~16:00

2020年3月17日 | カテゴリー: その他
かめぽん

チューもく!! 日活出身なのに時代劇スター。いまも顔力凄いです。 高橋英樹

先月は我がアイドル秀樹を取り上げ、今月は時代劇の英樹。どんだけHIDEKIが好きなんだなかめぽんです。

2月から放映されております池波正太郎先生原作の「編笠十兵衛」。原作もドラマも大好きな作品。若くて美しい英樹さまが主人公の月森十兵衛、その上司の中根正冬を片岡知恵蔵さんが演じた。二人の濃い顔対決も見所だが、本作は脇を固める役者さんがこれまたかめぽん好み。十兵衛を執拗に追いかける男、舟津弥九郎役は成田三樹夫さん。奥田孫太夫の大友柳太朗さんや俵星玄蕃の長門勇さん、小林平八の露口茂さん、柳沢吉保の岡田英次さんもツボ。吉良上野介は伊藤雄之助さんだし、忠臣蔵に絡めての幕府の思惑、世論の動向など、もしかしてこんなことがあったかも…と思うようなリアルなストリーが楽しめる。
女優陣も十兵衛の妻静江役の藤浩子さんや、瑤泉院の宮園純子さん、十兵衛の密偵千弥役の中島ゆたかさんの静かな中に燃える情念がたまらない。千弥は原作でも好きな役なので、ぜひ注目していただきたい。
忠臣蔵大好きかめぽんオススメの1作。

202003

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いま、世の中は新型肺炎の影響で様々なイベントが中止され、景気も気分も停滞している。そんなときに少しでも気分をあげる作品を、おうちで観るのはいかがだろう。TVの前でひととき、非現実な世界に没頭していただきたい。
「人生が豊かになる食の映画特集」は観ているだけでお腹が空く作品2本を放映。
子供たちには「映画プリキュアミラクルリープ みんなとの不思議な1日』公開記念【プリキュア映画カーニバル!2020春」や「仮面ライダービルド スペシャル」を。
スカッとする時代劇の「オールスター清水の次郎長スペシャル」や「一挙放送!侠道」もオススメ。
おうちで家族揃って過ごす、そんな春。
手洗いを十分して、よく寝て、よく食べて。
素敵な作品をたくさん観て、たくさん笑って、泣いて。
SARSにMERS、新型インフル等、いままでも人々の英知で乗り越えてきました。
コロナウィルスも克服できると信じてます。
みなさま、くれぐれもご自愛ください。

今月もわくわくな東映チャンネルをお見逃しなく〜

2020年3月2日 | カテゴリー: かめぽん
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