その他

チューもく!! 東映テレビドラマLEGACY 第41回『羆嵐』

今月の「東映テレビドラマLEGACY」は、1980年の『木曜ゴールデンドラマ』作品より、『人喰熊 史上最大の惨劇 羆嵐』をご紹介します。本作は吉村昭先生による小説『羆嵐』(77年)を映像化したもので、かつて北海道苫前郡苫前村三毛別六線沢で実際に起こった、「三毛別羆事件」がベースとなっています。その「三毛別羆事件」とは……。

 

時は、1915年(大正4年)。北海道の開拓時代。悲劇の舞台は、開拓部落である六線沢でした。最初に羆(ヒグマ)の存在が確認されたのは11月のことでしたが、その時点では、具体的な対策は講じられませんでした。そして12月9日、ついに羆による被害者(2名)が出ます。最悪の事態が生じたのは、翌日の12月10日のことでした。さらなる被害者は5名。ここから本格的な対策が打たれ始めたものの、羆の動きを捉えることは容易ではなく、組織された討伐隊も苦戦を強いられます。さまざまな予想外のアクシデントが続く中、討伐隊とは別行動をとっていたひとりの猟師が羆を射殺したのは、12月14日。この日から現地を襲った激しい吹雪は「羆風」もしくは「羆嵐」と呼ばれ、語り継がれたのでした。

小説『羆嵐』も、またテレビドラマ版『羆嵐』も、フィクション作品とはいえ、史実の重要な部分はしっかり押さえられたものとなっていますが、より正確な事実に興味のある方には1994年に発表された書籍『慟哭の谷 戦慄のドキュメント 苫前三毛別の人食い熊』をオススメします。

 

というわけで、今回は作品の特質を考え、従来のような「あらすじ紹介」は省かせていただきました。ドラマ『羆嵐』は、一連の事件をドキュメンタリータッチで描いていきます。この種の作品の場合、羆(熊)をどう表現するかという部分が重要となってくるのですが、本作は絶妙な編集やカメラワークを駆使して、狂暴なる羆の怖ろしさを見事に描きました。羆による被害者が出る「12月9日」と「12月10日」のシーンは、当時のテレビとしてもぎりぎりの凄惨さ。しかし、この一連があるからこそ、後半における「大自然を前にしたときの人間の無力さ、愚かさ」というテーマが活きてくるのです。本作のような題材を、テレビドラマとして放送していた時代が確かに存在した、ということが今回の放送で広い層に伝わってくれれば、と思っています。

主人公の猟師・山岡銀四郎を演じたのは三國連太郎さん。熊を仕留める実力は随一であるにもかかわらず、その性格ゆえに周囲から敬遠されている銀四郎は、三國さんが演じたことで、絶大な存在感を得ました。このほか、開拓民たちの期待を背負って現地入りする分署長を演じた石橋蓮司さんも適役。初登場シーンからして、「この人は大したことないんだろうなぁ」と思わせてくれます。羆に身内が殺されたことで、開拓民たちの中でも羆に対して猛烈な敵意を燃やす人物を演じているのは森田健作さん、前田吟さん。このほか、安定した演技力の大坂志郎さん、小林稔侍さんらが脇を固めました。冒頭のラストの「語り」は、当時『まんが日本昔ばなし』でもおなじみだった常田富士男さんが担当しています。

 

監督は、1978年に『冬の華』、1979年に『日本の黒幕(フィクサー)』を発表していた降旗康男さん。面白いことに、『羆嵐』のラジオドラマ版では、脚本に倉本聰さん、主演に高倉健さんと、『冬の華』で降旗監督とコンビを組んだ2人が参加していました。1981年にも倉本さん、降旗監督、高倉健さんで『駅 STATION』が公開されていることを考えると、世が世なら『羆嵐』がこのトリオで映画化されることもあり得たのかもしれません。

東映からは秋田亨さん、三堀篤さん、七条(七條)敬三さんという3名のプロデューサーが参加。よみうりテレビ側は池頭俊孝さんが担当されました。池頭さんと七条さんの名前の並びに既視感があったのですが、おふたりはまだ「制作担当」という肩書きだった時代に、『超人バロム・1』(72年)に参加されていたんですね。七条さんは後に東映動画(現:東映アニメーション)へ異動。1981年には『Dr.スランプ アラレちゃん』の企画者としてクレジットされているので、『羆嵐』は東映所属時代の最後の作品だったかもしれません。

そして三堀さんは東映の劇場作品の監督として『非情学園ワル』シリーズ(73~74年)や『太陽の恋人 アグネス・ラム』(76年)などを手がけた後、企画者に転じて、1979年には家城プロの製作、東映の配給で『わが青春のイレブン』を製作(脚本は家城巳代治さん)。この作品の監督が降旗さんでした。1980年代に入っても三堀さんは『ひとひらの雪』(85年)、『化身』(86年)、『桜の樹の下で』(89年)などの話題作を企画しています。

 

本作は、序盤の凄惨な「人喰い」シーン、メインとなる「羆と人間の対決」シーンもさることながら、銀四郎が羆を射殺した後の「エピローグ」も見どころです。銀四郎と他の登場人物たちの「相容れない」雰囲気は、本作が視聴者に訴えたかったテーマを感じさせてくれます。人間は、日本人は……この事件から何を学ぶべきなのでしょうか。

……それでは、また来月の当コラムにて、お会いしましょう!

 

<7月の『Gメン’75』>

7月が初回放送となるエピソードは、第57話から第64話。注目はなんといっても、第59話から第61話までの「沖縄ロケ三部作」です。当時、放送された時期もちょうど7月だったので、この時期に観るには、まさにうってつけ。内容はどこまでもヘビーですが、『羆嵐』と同様、「テレビドラマはここまでやれるのか」と思わせてくれる名作です。ぜひ、ご期待ください。

 

文/伊東叶多(Light Army)

 

【違いのわかる傑作サスペンス劇場/2022年7月】

<放送日時>

『羆嵐』

7月1日(金)11:00~13:00

7月14日(木)22:00~23:50

7月22日(金)11:00~13:00

 

『極刑』(主演:草笛光子)

7月15日(金)11:00~13:00

7月29日(金)11:00~13:00

 

『傑作推理劇場 死ぬより辛い』(脚本:池田悦子/監督:佐藤肇/主演:秋野暢子)

7月8日(金)11:00~12:00

7月19日(火)5:00~6:00

 

『傑作推理劇場 ラスト・チャンス』(脚本:松田寛夫/監督:小澤啓一/主演:原田芳雄)

7月8日(金)12:00~13:00

7月16日(土)13:00~14:00

2022年7月1日 | カテゴリー: その他
かめぽん

チューもく!! 猛暑に飛び込んだ悲報。でも、思い出の主題歌はみんなの胸に。 ありがとう、渡辺宙明先生

この原稿を書いている6月。
暑い、死ぬほど暑い…梅雨はあっという間に消え去り、いきなりの酷暑。
かめぽんは寒暖の差アレルギーなんだけど、冷房の室内と酷暑な外の出入りでアレルギーが出たのは初めて。
だって、まだ体がなれてないんだもん(号泣)
そんな中、悲しいニュースが。
特撮、アニメソング界の大御所、渡辺宙明先生の訃報が届いた。
アニメ、特撮大好きなかめぽんはスルーできない大事件。
宙明先生の楽曲はかめぽんのカラオケの定番でもある。
子供の頃から心にも体にも染みついた名曲の数々。
多分、一番はじめの出会いは「拳銃は一番最後だ」の「忍者部隊月光」。
黒鉄の城のマジンガーZにキカイダー、ゴレンジャー、ギャバン…って東映の名作ばかりじゃないですが。
シンプルで、それでいて重厚な名曲の数々。
しばらくは宙明先生の主題歌集をBGMにします。
本当に、本当に、たくさんのワクワクをありがとうございました。
7月の東映チャンネルでもキカイダーやバトルフィーバーJなどの宙明ワールドが楽しめるので、ぜひ。

202207

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、今月の東映チャンネル。
[スーパー戦闘 純烈ジャー スペシャル]きた〜。
純烈のボーカルの白川さんはご存じ「忍風戦隊ハリケンジャー」のゴーライジャー兄。
ハリケンジャーは西田健さんつながりでいろいろ面白いことがあったので、かめぽんのナンバーワンスーパー戦隊シリーズなのですが、その10年後を描いた「忍風戦隊ハリケンジャー 10 YEARS AFTER」や「忍風戦隊ハリケンジャーVSガオレンジャー」も含め純烈メンバー縁の作品を5本放映。
全部録画スタンバイしなきゃ。
「生誕100年 丹波哲郎刑事まつり」やシンケンジャー@俳優 松坂桃李の軌跡(←宙明先生の楽曲も)、「生誕80年 松方弘樹特集 前編」など特集も熱い。
また、東映特撮のかめぽん一押し「恐竜・怪鳥の伝説」もぜひ。
東映ファンならず〜っと画面に突っ込んでいられるネタ満載な1本、大好きだっ!
「女の子アニメMOVIEスペシャル」や「傑作時代劇スペシャル」、盛りだくさんな健さん映画も。
暑い夏、熱い作品でパワーをもらい乗り切りましょう

今月もわくわくな東映チャンネル、お楽しみに!

2022年7月1日 | カテゴリー: かめぽん
かめぽん

チューもく!! だんだんと日常に戻りつつある中、スカッとする昔ながらのヒーローを堪能しよう

生誕110年記念【大友柳太朗の快傑黒頭巾スペシャル】。
大友さん、生きてらしたら110歳なんですね。
そして、黒頭巾。
エンターテインメントですよ、時代劇の。
わくわくします。
イカ頭巾というか、この手の黒頭巾はヒーローご着用だと颯爽と、悪役だと辻斬りのイメージがあるのよね。
黒頭巾の他に白頭巾もあって、錦之介さんのドラマで夜の見回りに白頭巾は[お奉行…目立ちすぎです]と突っ込んだこともあったっけ。
話はそれましたが、大友さんの黒頭巾。
彼自身の魅力か、豪快で明るい感じがして好き。
ストーリーの中での変幻自在な変身も楽しいし。
2丁拳銃で馬に乗って爆走なんて、西部劇のようでもありました。
ともかく痛快な気分になるのでご覧あれ。

202206

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、今月の東映チャンネル。
[美しき負け犬たち~ ボクシング映画特集]の「血まみれの決闘」は健さんがボクサーというレアな映画。
若かりし健さんの肉体美も見物。
[東映チャンネル名画館]ではこちらも健さんの「ゴルゴ13」が。
任侠映画も併せて、いろいろな健さんが楽しめます。
いま、東映のTV特撮シリーズはめちゃくちゃバラエティ豊か。
かめぽん世代はジャイアントロボや赤影、キカイダーに釘付け。
子供の頃楽しんだ番組を、大人になってまた噛みしめる幸せを味わっております。

今年の夏は会話を伴わない場所や、公共の場←乗り物など以外ではついにマスクを外せるかも。
夏の暑い時期、汗をだらだら流しながらマスクをつけていた日々ともやっとお別れできるかな。
人と話すとき、人が多いときはマスクをつけて。
会話の伴わない、人との距離がとれる屋内、あるいは屋外ではマスクなし。
気持ちよく過ごせるよう、心遣いをもちつつ、暑い夏に備えましょう。

今月もわくわくな東映チャンネル、お楽しみに!

2022年6月1日 | カテゴリー: かめぽん
その他

チューもく!! 東映テレビドラマLEGACY                              第40回『悪魔が忍び込む』

今月で第40回を数えた「東映テレビドラマLEGACY」。今後もご愛読のほど、よろしくお願いします。さて、今回ご紹介するのは1985年の『火曜サスペンス劇場』作品より、『悪魔が忍び込む』です。放送日は7月2日で、この回より、エンディング・テーマが1年ぶりにリニューアルされ、3代目の「橋」から4代目の「25時の愛の歌」へと代わりました。『火サス』のエンディング曲は1981年の番組スタートから1987年の秋まで、6年間にわたって岩崎宏美が歌唱を担当。「25時の愛の歌」は、初代の「聖母(マドンナ)たちのララバイ」に続いて長く使用された曲なので、印象に残っている方も多いのではないでしょうか。ちなみに、1985年7月当時の『火サス』の裏番組にはフジテレビ『なるほど!ザ・ワールド』のほか、TBS『サーティーン・ボーイ』(主演:岡本健一)、テレビ朝日『ただいま絶好調!』(主演:舘ひろし)などがありました。

 

看護師として働いていた佐藤すみ子(浜木綿子)は、最初の結婚で長女・しのぶ(早川美也子)を産みましたが、夫と死別。女手ひとつで娘を育てていくため、クラブで働くようになりました。あるとき、すみ子は店長の冬木(睦五郎)から再婚の話を持ちかけられます。相手は、大手企業で部長を務める岩渕勝(伊東四朗)でした。岩渕は、すみ子に一目惚れ。しのぶという娘がいることも承知で、彼女との結婚を望んでいました。やがて、すみ子は勝の母・チカ(清川虹子)とも会い、岩渕との結婚と、チカと勝が暮らす家での同居を決断します。しのぶも、すでに小学生になっていました。

ところが、ある時期を境に、チカは急に、すみ子やしのぶに冷たくあたるようになりました。老人会でチカと仲良くしている吉川(浅香光代)という女性からも、すみ子は嫌味を言われる始末。どうやらチカは、あることないこと、老人会で仲間たちに吹聴しているようでした。なぜ、チカの態度が急変したのか? その時点では、すみ子には全くわかりませんでした。義母や自分をいじめるチカへの嫌悪感から、しのぶはチカに対し、激しく反抗するようになります。しかし、その程度のことで、チカが怯むことはありませんでした。

ただし、チカは持病を抱えていました。狭心症です。すみ子がチカを病院へ連れて行ったところ、武内医師(横光克彦)は2種類の薬を出してくれました。武内は、すみ子が元・看護師だと聞き、「力強い味方がいる」とチカを励ましますが、そんなことで、チカのすみ子に対する感情は変わりません。むしろチカは、自分がすみ子に殺されるかもしれない、などと人聞きの悪いことを遠慮なく、言い出すようになっていきます。

そしてまた、ある日のこと。チカは、しのぶの反抗的な態度に腹を立て、そのために狭心症の発作を起こしました。すみ子が外出していたこともあり、チカは自分で急いで薬を探しますが、なぜか、置いてあるはずの場所に薬が見つからず……!

 

というわけで、ここまで読んでいただいた方は、この作品に「嫁・姑の関係を軸にしたサスペンス」といった印象を抱かれたことでしょう。それ自体に間違いはありません。「嫁」であるすみ子に対して、これでもかと悪態をつくチカ。清川虹子さんの、「一般視聴者に嫌われても構わない」と言わんばかりの熱演ぶりが光ります。当時、すでに70歳を過ぎていたとはいえ、本作の2年前に映画『楢山節考』に出演するなど、第一線で活躍を続けていた清川さんに加え、劇中のチカの「援軍」として、剣劇女優として知られた浅香光代さん(老女・吉川役)も参戦しているのですから、すみ子も分が悪そうです。ひたすら耐え続ける、すみ子。彼女にとって最大の味方は娘のしのぶであり、また夫の岩渕勝であるはずなのですが、しのぶの態度が母・チカを苦しめている一因になっていると考えた勝はやがて、しのぶに対しても疑念を持つようになり、すみ子と勝の間にも、深い溝が……。

 

そんな本作ですが、前半で張られていた伏線が、後半で見事に回収されていきます。密度的には、後半は前半の倍くらいのイメージ。チカのすみ子に対する態度が急に変わった原因は何か? 大事な薬の置き場所は、どうして変わっていたのか? そして、それは「誰」が変えたのか? さまざまな謎が明らかになっていくのと並行して、憎しみが支配していた物語の中から「愛」が見えてくるという構造が秀逸で、「嫁・姑の話は苦手だな……」という方にも、ぜひご覧いただきたい作品となっています。もちろん、タイトルに「悪魔」と入っているように、人間の<悪意>もポイントなので、随所で発見できる<悪意>の巧みな描かれ方にも、ご注目ください。

最後に、例によって、ストーリー紹介部分で触れられなかった、他のキャストについて紹介しておきましょう。勝の兄で、チカとの同居を拒否していた岩渕修を演じたのは、穂積隆信さん。老人会「憩いの家」における長老格の老人を演じたのは、当時87歳の佐々木孝丸さんでした。資料によれば、本作が長いキャリアにおける最後の作品である可能性が高そうです。後半、重要な「証言者」として登場する堀川朋子を演じたのは、1980年代の時代劇や刑事ドラマでは欠かせない存在だった佐藤万理さん。しのぶが通う小学校の用務員は相馬剛三さんが演じています。

……それでは、また来月の当コラムにて、お会いしましょう!

 

文/伊東叶多(Light Army)

 

<6月の『Gメン’75』>

6月が初回放送となるエピソードは、第47話から第56話。第47話「終バスの女子高校生殺人事件」は、ラストで明かされる事件の「真相」に衝撃を受けること間違いナシの傑作回です。その他にも第49話「土曜日21時のトリック」や、第56話「魚の眼の恐怖」など必見回が続々登場。ぜひ、ご期待ください。

 

【違いのわかる傑作サスペンス劇場/2022年6月】

<放送日時>

『悪魔が忍び込む』

6月3日(金)11:00~12:50

6月14日(火)21:30~23:30

6月27日(月)21:30~23:30

 

『女が見ていた』(監督:鷹森立一/主演:泉ピン子)

6月2日(木)13:00~15:00

6月10日(金)11:00~13:00

6月23日(木)22:00~24:00

 

『異人館の遺言書』(原作:和久峻三/出演:フランキー堺、春川ますみほか)

6月16日(木)11:00~12:00

6月24日(金)11:00~12:00

 

『暗い穴の底で』(原作:菊村到/脚本:長坂秀佳/監督:天野利彦/主演:近藤正臣)

6月17日(金)11:00~12:00

6月24日(金)12:00~13:00

2022年5月31日 | カテゴリー: その他
その他

チューもく!! 東映テレビドラマLEGACY                                                                          第39回『奥多摩殺人渓谷』

今月の「東映テレビドラマLEGACY」は、1982年の『土曜ワイド劇場』作品より『奥多摩殺人渓谷』をご紹介します。本作の原作は、山岳推理小説で人気のあった太田蘭三先生です。1978年に刊行された「殺意の三面峡谷 渓流釣り殺人事件」が翌年、『土曜ワイド劇場』にて映像化。主人公の釣部(つるべ)渓三郎を緒形拳さん、ヒロインの女子大生・上條アキを、当時20歳だった池上季実子さんが演じました。すでに東映チャンネルにて放送されたので、ご覧になった方も多いでしょう。

『奥多摩殺人渓谷』は、その直接の続編にあたります。第2作まで3年という長い時間が空いたものの、緒形拳さんと池上季実子さんの「再共演」が実現しました。当時、緒形さんは主演映画『野獣刑事』が公開されたばかり。『火曜サスペンス劇場』で長く続いた『名無しの探偵』シリーズのスタートも、この年でした。一方の池上さんは、前作の放送と同時期に公開された『太陽を盗んだ男』以降、映画の出演についてはブランクがあったものの、テレビドラマで大活躍。このコンビは翌年(1983年)の映画『陽暉楼』において、女衒と芸妓の父娘という形でまたまた共演を果たすのですが、『土ワイ』の「釣部」と「アキちゃん」としては、「年の離れたカップル」を、実に爽やかに演じています。

 

前作のラストで渡米した上條アキは、帰国して早々、奥多摩へ山登りに出かけました。しかし運悪く、そこで男性の死体を発見してしまいます。アキは、すぐに警察へ連絡。亡くなった男性は釣り人らしく、落石事故に巻き込まれたものと思われました。死体のそばには、魚籠(釣った魚を入れる容器)が転がっていましたが、魚籠の中に入っていた魚については梅林刑事(穂積隆信)が「ヤマメだ」と言う一方、今西巡査(相馬剛三)は「アマゴです」と主張。このやりとりを聞いたアキは、事件の真相を突き止めるためにも、釣部渓三郎という推理作家に意見を求めたほうが良いと提案します。どうやらアキは、何かの理由をつけて釣部と久しぶりに会いたかったようです。前回の事件にも関わった人物で、釣部とは友達付き合いをしている北多摩署の「サワさん」こと大沢警部(大坂志郎)が、釣部に連絡。釣部はアキと再会を果たしますが、会った途端に釣部とアキは大喧嘩をしてしまいました。機嫌を損ねて、ひとりでさっさと帰ってしまうアキ。釣部は、アキの複雑な心理がつかめず、戸惑うばかりでした。

そんな釣部でしたが、「ヤマメか、アマゴか?」という問題については、アキが想像していた通り、明快な回答を述べます。魚籠に入っていたのはアマゴ。しかし、死体が発見された現場の付近では、アマゴを釣れるはずがない。このことから、本件は事故ではなく、殺人の可能性が高まりました。何者かが、釣り人の事故だと見せかけるべく、現場まで、死体を「運んだ」のです。しかし犯人は、アマゴという手がかりを残してしまっていました。ここから考えられるのは、犯人は釣りの知識があるものの、ヤマメとアマゴの違いまでは見分けられなかった人物、ということになります。

やがて、被害者の身元が判明しました。金融ブローカーで、前科もある高峰という男。大沢警部たちは、亡くなる前の高峰の動きを調べ、「大宝観光」という観光会社に辿り着きました。高峰は、この会社の常務(深江章喜)と秘書課長(黒部進)に接近し、融資の話を持ちかけていたのです。常務たちは、高峰との関係を即座に否定。しかし、「大宝観光」の経営状態が悪化していたことは確かで、大沢警部の中で、疑惑は拭えませんでした。

そんなとき、もうひとつの事件が発生します。アキの友人の郁代(藍とも子)と静子(花條まり)が、奥多摩へ登山に行ったまま、帰ってこないのです。2人と一緒に山へ行き、法事に出席するため先に下山したアキは、責任を感じます。静子の母(月丘千秋)や、静子と結婚することが決まっていた観光会社の社員・船岡(谷隼人)も心配する中、最悪の事態が……。

 

……というわけで、前作では父親(伊豆肇)を殺害されたヒロイン・アキちゃんは、本作では、2人の親友まで失ってしまいます。

そんな状況でも、明るさを失わないのがアキの魅力。寂しさを紛らわせるためなのか、釣部が暮らすマンションへ「押しかけ女房」的にやって来て、料理を作ったり、シャワーを浴びたり……。池上さん(アキ)と緒形さん(釣部)のやりとりが面白く、このキャスティングで第3作以降も観てみたかったと思わせてくれます(翌年の第3作では、近藤正臣さんと斉藤慶子さんが引き継ぎました。その後も林隆三さんや浅野ゆう子さんが出演し、シリーズ自体は第7作、1992年まで続きます)。

なお、第1作に続いて「山岳指導」としてクレジットされているのは、東映の名バイプレーヤーで、本作では巡査役で出演もしている相馬剛三さん。擬斗の遠矢孝信さん(なぜか本作では「考信」とクレジット)は、かつて『宇宙猿人ゴリ』(71年)で、天才科学者・ゴリ博士を演じていたスーツアクターとしても知られています。

……それでは、また来月の当コラムにて、お会いしましょう!

 

文/伊東叶多(Light Army)

 

 

<5月の『Gメン’75』>

5月が初回放送となるエピソードは、第39話から第46話。そして、4月末から引き続いて、5月1日(日)~5日(木)の22:00~26:00は、【GWイッキ見!まだ間に合う!『Gメン’75』】。第21話~第40話までが1日に4話ずつ、キャッチアップ放送されます。こちらもぜひ、お楽しみに。

さらに! オリジナル情報番組『ピンスポ!』における、藤田三保子(当時:藤田美保子)さんのスペシャル・インタビューPART2も放送。初代女性Gメン“響圭子”こと藤田さんが語る、鮮烈な撮影エピソードの数々をご堪能ください!

 

【違いのわかる傑作サスペンス劇場/2022年5月】

<放送日時>

『奥多摩殺人渓谷』

5月7日(土)20:00~22:00

5月13日(金)11:00~13:00

5月27日(金)13:00~14:50

 

『女の中の風』(脚本:橋本綾/出演:浅野ゆう子、加藤治子、山岡久乃ほか)

5月20日(金)11:00~13:00

 

『別れてのちの恋歌』(監督:井上昭/出演:大竹しのぶ、堤真一、田中邦衛ほか)

5月27日(金)11:00~13:00

 

『死の断崖』(監督:工藤栄一/出演:松田優作、夏木マリほか)

5月17日(火)11:00~12:50

 

『百円硬貨』(原作:松本清張/脚本:橋本綾/監督:野田幸男/主演:いしだあゆみ)

5月25日(水)16:00~17:00

 

『雪の螢』(監督:浦山桐郎/主演:大空眞弓)

5月7日(土)5:00-6:00

 

2022年4月28日 | カテゴリー: その他
かめぽん

チューもく!! ゴールデンウィークもエンターテインメント三昧。 おうちでも楽しもう

5月のラインナップをみて、かめぽんが一番に食いついたのは「東映特撮映画の世界」で放映される「飛びだす冒険映画 赤影」。
おばあちゃんと観に行ったのよ、これ!
赤と青のセロファンが張ってある立体めがねをかざしながら、3D(らしき映像)を堪能した思い出の作品。
当時としては画期的だったのだと思う。
わくわくしたし、ものすごく覚えている。
ちょっとめがねをずらすと、イラストのような映像だった。←あくまでもイメージです。
後年、ディズニーランドでキャプテンイオを観たとき、本当に素晴らしい立体映像に感動したんだけど、赤影の立体映像はかめぽんの3D体験の原点。
本当に、本当に楽しい思い出として心に残っている。
今回は残念ながら3D映像では観られないのだが、昔を思い出して立体めがねを手に作品を楽しもうと思う。

202205

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、今月の東映チャンネル硬軟取り混ぜてのラインナップ。
「日本国憲法75年【特集 占領下の日本政治】」も楽しみ。
一時、この特集で流れるような作品を観まくった時期があったのと、「吉田茂」は放映もリアルタイムで視聴した作品。
ぜひ録画して残しておこうと思う。
「名作アニメスペシャル」は大好きな「わんわん忠臣蔵」が4Kリマスター版で観られるし。
任侠映画は「連続放送! 昭和残侠伝」「一挙放送! 緋牡丹博徒 Vol.2」「連続放送! 兄弟仁義 Vol.3」とたっぷり。
もちろん「スーパーヒーロー スペシャル」も「2か月連続企画 銀河鉄道999特集」もあるのでちびっこたちともご一緒に。
ああ、メーテルと鉄郎の旅も終着を迎えるのね…

今年のGWは近場に旅行に行ったり、お買い物に行ったり、少しは日常が戻るといいな。
あとひと踏ん張り。
しんどくなったときは喜怒哀楽が豊富な東映チャンネルの作品でリフレッシュ。

今月もわくわくな東映チャンネル、お楽しみに!

2022年4月28日 | カテゴリー: かめぽん
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