月別アーカイブ: 2020年10月

その他

チューもく!! 東映テレビドラマLEGACY                第21回『恋人交換殺人事件』

今月の「東映テレビドラマLEGACY」は、1982年の「土曜ワイド劇場」作品より、『恋人交換殺人事件』をご紹介します。この作品の原作は、赤川次郎先生。原作タイトルが「死体置場で夕食を」だといえば、ミステリーファンの方は「あぁ、あれか!」と思い当たるのではないでしょうか。同作は、1970年代末に『三毛猫ホームズ』シリーズなどで脚光を浴び始めた赤川先生が、1980年に発表した作品。多作ゆえ「シリーズもの」の印象が強い赤川先生ですが、同作は非シリーズながらも長く読まれており、2016年にも新装版が発行されました。

「土曜ワイド劇場」では、赤川先生の作品の映像化にいち早く着手していました。『幽霊シリーズ』の第1作『幽霊列車』は、なんと岡本喜八監督が手がけて、1978年1月に放送。そして『三毛猫ホームズ』は製作:東映、主演:石立鉄男という布陣でシリーズ化され、1979年から1984年まで、1年に1作のペースで放送されました。

そんな中、映画『セーラー服と機関銃』(81年)の大ヒットもあり、赤川先生は時代の寵児となっていきます。『恋人交換殺人事件』は82年2月の放送ですから、タイミングもバッチリだったといえるでしょう。監督は、『三毛猫ホームズ』第1作を担当した手銭弘喜さん。なお82年2月というと、あの「ホテルニュージャパン火災」(8日)や、日本航空350便墜落事故(9日/エンジンの逆噴射が原因となったことで知られる)が起こった時期でした。

 

カメラマンの紺野芳子(池上季実子)は婚約者で雑誌編集の仕事をしている糸井洋一(小倉一郎/※原作では洋一と芳子は夫婦の設定です)と一緒に猪苗代まで冬のドライブへと出かけました。しかし猛吹雪に見舞われ、洋一の運転する車は道に迷ってしまいます。それ以上は動けなくなった2人でしたが、運良く付近にロッジを見つけました。2人が訪ねて行くと、管理人の福原(三谷昇)は、泊まっていって構わないと彼らを歓迎します。そのロッジには、たくさんの先客がいました。ロッジのオーナーであるらしい安西(佐伯徹)とその妻(弓恵子)、運送業を営んでいるという太田(出光元)とその妻(高沢順子)、ホテル開発業を自称する湯川(藤木敬士)、そして田代美奈子(片桐夕子)。6人は、みなそれぞれ旧知の間柄のようでした。彼らは集まって談笑しており、「ご一緒に」と誘われた芳子でしたが、さすがに疲れているので、すぐに部屋で眠ることにしました。

しかし、一夜明けると、なぜかロッジには誰もいませんでした。先客たちどころか、管理人の福原も、さらには婚約者の洋一も……。当惑した芳子は、なんとか最寄りの交番まで辿り着いて、老警官(相馬剛三)に事情を説明しました。急遽、ヘリコプターが出動し、ロッジの様子を空から確認することに。ところが、なんとロッジは全焼。焼け跡からは、ひとりの男性の遺体が発見されました。やがて、その遺体は洋一である可能性が高いと聞いた芳子は悲嘆にくれます。いったい、どうしてこんなことになったのでしょうか。芳子は、猪苗代で知り合った元・刑事の瀬川(柴俊夫)とともに、ロッジにいた先客たちの行方を調べ始めますが……。

 

副題が「雪山に消えた七人」となっているように、序盤で奇想天外なトリックを読者(視聴者)に対して仕掛け、作品の世界へ否応なく引きずり込んでいくテクニックはいかにも、赤川先生的です。事件関係者を演じる面々がまた、クセの強い俳優・女優さんばかりで、殺人事件なのに、なんだか楽しく(?)なってしまう部分があるのも、赤川作品ならではのことでしょう。メインタイトルが『恋人交換殺人事件』なので、察しの良い方は、ロッジに集まっていた6人の「目的」にもすぐに気づくと思いますが、そのあたりは劇中でも早めに明かされるため、以降は「事件の真相」に焦点が絞られていきます。

しかし、物語が進んでも、なかなか風呂敷を畳みにいかないのが赤川作品の特徴。あっと驚く「新キャラ」が中盤で登場したり、意外な「伏兵」が現れたりと、飽きさせない作りになっています。ラスト10分くらいまでは「ホントに事件解決するの?」と心配になりますが、そこからの怒涛の展開にご期待ください。後の2時間ドラマが陥っていったような、クドい説明を省いている点が、この時代の2時間ドラマの良さ。「ながら見」をしている視聴者ではなく、作品を食い入るように観ている視聴者のほうをしっかり向いて作られたものは、やっぱり面白いです。もちろん、本作においても、いくつか「?」となるような強引な箇所は存在しますが、その点だけをあげつらって作品に低評価を下すのは、実にナンセンスなことでしょう。ちなみに、本作で使用されているブリッジ曲や効果音の類は、後の『スケバン刑事』シリーズ(85~88年)でも頻繁に使用されているため、そちらのほうで聴き馴染んでいる方が多いのではないでしょうか。効果:原田千昭さん、選曲:秋本彰さんは『ザ・スーパーガール』(79年)などを担当後、本作を経て『スケバン刑事』シリーズでもタッグを組んでいました。

あらすじで紹介できなかったキャストでは、刑事役の名古屋章さんが安定した演技を見せています。時期的にはちょうど、石立鉄男さんとの丁々発止のやりとりが好評を得ていた『秘密のデカちゃん』(81年)が終わったあたりでしょうか。80年代の名古屋さんは一連の「大映テレビ」作品において、常に最重要キャストのひとりでした。

柴俊夫さんは、主演を務めたNHK時代劇『いのち燃ゆ』(81年)が終わったあたり。『西部警察PART-Ⅲ』(83年)で、三浦友和さんの後釜としてレギュラー入りするのは、本作の翌年のことでした。そしてヒロイン役の池上季実子さんはやはり前年のNHK大河ドラマ『おんな太閤記』(81年)で豊臣秀吉の側室・淀殿を演じ終えたばかり。翌年には代表作のひとつとなる映画『陽暉楼』(83年)に出演されました。池上さん、柴さん、名古屋さんといったスターたちの絶頂期の仕事としても本作は見応えがあります。この機会にぜひご覧になってください。

 

それでは、また次回へ。11月の「違いのわかる傑作サスペンス劇場」では本作のほか、当コラムの第5回でご紹介した『0計画(ゼロプラン)を阻止せよ』(原作:西村京太郎/出演:黒沢年男、児玉清ほか)、1983年の『火曜サスペンス劇場』より『夕陽よ止まれ』(監督:吉川一義/出演:丹波哲郎、紺野美沙子、野際陽子ほか)が放送されます。これらの作品群もぜひ、ご堪能ください。

 

【11月の『刑事くん』(第2シリーズ)】

11月、新登場となるエピソードは第37話から第46話まで。その中から、今回は第43話「お父さんとのデート」をご紹介します。

第43話「お父さんとのデート」(監督:竹本弘一)

城南署で燻し銀の存在感を放つベテラン刑事「島さん」こと島崎刑事(守屋俊志)が、珍しく捜査情報を漏らすというミスを犯しました。そのため島崎刑事は、娘(遠藤薫)との約束を破って捜査に打ち込みます。ところが、そんな島崎刑事が暴力団に拉致されてしまいました。暴力団から呼び出された三神刑事(桜木健一)は、島崎を解放する代わりに、警察が集めた情報を提供せよと迫られます。仕方なく、これを了承した三神でしたが、上司である時村(名古屋章)や、同僚の宗方刑事(三浦友和)の目を盗んで捜査関係書類を持ち出すのは困難でした。しかし、このままでは島さんの命が危険です。そこで三神は、強引に書類を持ち出しましたが……。

 

第1シリーズの第1話から登場している「島さん」にスポットを当てたエピソード。本作のメインライターを務める長坂秀佳さんならではの視点が活かされた一編だといえるでしょう。ただ、30分ドラマということもあり、中盤はずっと拉致されたまま、というのが残念。1時間ドラマならば、「島さん」の心の葛藤がもう少し描き込まれていた気がします。「島さん」役の守屋俊志さんは結局、『刑事くん』には名古屋章さんとともに最終シリーズまで出演。さらに、本作と同じ枠で後に放送された『刑事犬カール』(77年)においても、刑事役で出演されていました。

悪役でゲスト出演しているのは幸田宗丸さんと黒部進さん。この2ショットを観て、なんだか既視感があるなぁと思っていたら、後の『スケバン刑事』(85年)第4話「白い炎に地獄を見た!」でも、2人は同じような役回り(幸田さんの配下の役が黒部さん)で出演されていたのでした。そして、なんと、その回では守屋さんも登場(クレジットは「守谷」となっていましたが)。ただし、こちらでの守屋さんは刑事役ではなく、幸田さんや黒部さんと同じく、悪役の側でした。

「島さん」の娘を演じているのは、70年代の東映テレビ作品に数多くゲスト出演していた子役の遠藤薫さん。なぜか長坂さんの脚本作品への出演が多く、具体的には『人造人間キカイダー』(72年/第31・32話)、『仮面ライダーX』(74年/第7話)、『快傑ズバット』(77年/第19話)といった具合です。

いよいよ、第2シリーズも終盤戦。11月末までの放送を終えると、残り9話となります。今後も引き続き、“刑事くん”の活躍にご期待ください。

 

文/伊東叶多(Light Army)

 

 

<放送日時>

『恋人交換殺人事件』

11月7日(土)18:00~20:00

11月14日(土)20:30~22:30

11月24日(火)13:00~15:00

 

『0計画(ゼロプラン)を阻止せよ』

11月7日(土)20:00~22:00

 

『夕陽よ止まれ』

11月24日(火)20:00~22:00

 

『刑事くん』(第2シリーズ)

毎週月曜日18:00~19:00(2話ずつ放送)

再放送:毎週金曜日7:00~8:00

 

『刑事くん』(第1シリーズ)

毎週木曜日19:00~20:00(2話ずつ放送)

2020年10月20日 | カテゴリー: その他
かめぽん

チューもく!! かめぽんコラム番外編 東映チャンネルが好きすぎて、かめぽんの島も東映テイストにしちゃった

気がつけば秋。彼岸を過ぎたら本当に涼しくなって、昔の人はえらいなあと思う今日この頃。
バトルロワイヤルは相変わらずのおもしろさで、今も活躍する方々の若かりし日々を眺めつつ、話のおもしろさに没頭しました。秋の夜長は好きな作品を観ながら、美味しいお茶を飲むのが一番。
今月の深作監督特集も大好きな「赤穂城断絶」があるし、「ガンマー第3号 宇宙大作戦」なんてマニアックな作品もあって楽しみ。
東映アニメーションの特集も、かめぽんが幼少の時に大好きだった作品が目白押し。
ああ、少年猿飛佐助の絵本、大事に持っていたなあ。
落書きしちゃったけど←綺麗なままならコレクタブルアイテムかも…

さて、コロナ禍の昨今、かめぽんは家と会社の往復な日々で、楽しみと言えばゲームとエンターテインメント作品。
中でも、世界的ブームになった「あつまれどうぶつの森」にドはまりしました。
たぬきちからの借金地獄に耐え、ようやく島の整備も一段落。
お花がたくさんの自然豊かな、住民たちとのんびり暮らせる島になりました。

いろいろなユーザーさんの島にお邪魔し、ポケモンだの一面白の世界だの、工夫あふれた島々のなんと素敵なこと。
かめぽんの島はいたって平凡。
住民さんの移動のアクセスを一番に考えた、道具(はしごとかたかとびぼう)がなくても楽々回遊できる島。
そんな島に、ふと思い立って東映チャンネルショウルームを作ってみました。
手持ちの家具でいかに東映テイストを出すか考えていたら楽しくなっちゃって、相棒の匿名係の部屋をコンセプトにしたカフェやアニメスタジオ風のコーナーを作ったり。
Gメン75のオープニング風の写真が撮れる場所や(75と書くのが意外と大変でした)、自宅の地下に昔懐かしい映画館のロビー風の部屋を設えたり。
マイデザインで「TOEI ch ♥」なんてTシャツを作ったり。

どうぶつの森は夢番地でいろいろな人の島に遊びに行けるんだけど、かめぽんの島も公開してます。
(DA-7520-7969-7729)
[あくまでも、かめぽん個人の島のかめぽんの趣味のコーナーです。東映さん公式ではありませんので]
Gメン75の藤田美保子さんぽい帽子や衣装を置いてあるので、ぜひ写真を撮ってくださいね。
文太さん…ならぬ渋いオオカミのブンジロウや、忍者なモモチ(口癖はニンニン)、アイドル志願のルナちゃん、あつ森界の人気者ちゃちゃまるなど個性豊かな住民もいますので、ぜひ声をかけてね。
冬になったらかめぽんの部屋に松の廊下を作り、島の一部を忠臣蔵仕様にする予定。
ああ、楽しみはつきないです。

20201001 20201002 20201003 20201004

今月放映の「赤穂城断絶」で忠臣蔵の世界を堪能して、参考にしなきゃ。
「いろいろ鉄道映画祭」は鉄道大好きなかめぽんの連れ合いが楽しみにしてる。
かめぽん、連れ合い共々日本映画の中で1、2を争う大好きな作品「新幹線大爆破」も放映予定。
あー、いろいろ楽しみすぎる。

今月もわくわくな東映チャンネルをお見逃しなく〜

2020年10月1日 | カテゴリー: かめぽん