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チューもく!! 東映テレビドラマLEGACY 第55回「愛のホットライン」

第54回「生徒諸君!」に続いて、間髪入れず、第55回をお送りします。今回、ご紹介するのは、1981年にフジテレビで放送された『愛のホットライン』。当時は、少年少女の非行が大きな社会問題となっていました。そんな世相を反映した『3年B組金八先生』が大ヒットしたのも、同じころです。『愛のホットライン』は、警視庁「少年家庭特捜部」に所属する、7人(後に8人に増員)の刑事たちの活躍を描く作品。当時の刑事ドラマといえば、石原裕次郎さんや丹波哲郎さん、二谷英明さん、あるいは菅原文太さんといった銀幕の大スターがチームのトップを務めるパターンが主流でしたが、本作において「少年家庭特捜部」のチーフ・梶警視を演じたのも、東宝娯楽映画の時代を支えた加山雄三さんでした。

加山さん主演の刑事ドラマといえば、「遊撃捜査班」が活躍する『大追跡』(78年)が有名ですが、『愛のホットライン』は、『大追跡』よりもアクションをやや抑え、人間ドラマを重視した作品です。梶警視は妻を亡くしており、現在は小学4年生の息子・雄太と、妻の妹である原田節子(田中好子)の3人で暮らしています。仕事では少年犯罪と向き合いながらも、多忙のため、私生活では息子と向き合う時間を持てないというジレンマを抱えつつ、信頼する部下たちとともに日々、捜査活動を行っているのです。

梶警視が率いる「少年家庭特捜部」のメンバーは、ベテランの浦部(加藤武)、貝谷千津(中原早苗)、若手の海野(星正人/企画段階では宮内淳)、潮(山西道広)、入江渚(新井春美)といった面々。そして、作品にハードな魅力をもたらしているのが、岬刑事を演じている近藤正臣さんです。『Gメン’75』でいえば立花警部(若林豪)、『特捜最前線』でいえば桜井刑事(藤岡弘)のポジションでしょうか。近藤さんがレギュラーで刑事役を演じたケースは意外に少なく、その意味でも貴重な作品と言えるでしょう。

製作に携わったのはセントラル・アーツ。東映芸能ビデオ(現:東映ビデオ)で『探偵物語』(79年)を手がけた黒澤満プロデューサーが中心となり、1980年に設立された映像制作プロダクションです。テレビドラマにおける第1回作品は、『愛のホットライン』の前番組にあたる『キャンパス・アクション 探偵同盟』(81年)。こちらも加山雄三さんが主演でした(東映チャンネルにて7月より放送決定!)。これに続き、日本テレビで『プロハンター』を、そして『探偵同盟』の後番組として、『愛のホットライン』を製作したのです。『探偵物語』『探偵同盟』『プロハンター』は「探偵もの」だったので、『愛のホットライン』は同社にとっての初の刑事ドラマ。5年後にスタートする『あぶない刑事』(86年)においても「少年課」が登場しているのは、『愛のホットライン』へのオマージュでしょうか?

 

脚本家、監督のメンバーのうち、『探偵同盟』からの続投となったのは、西村潔監督と小澤啓一監督のみでした。ただし、この2人は2本ずつの担当で終わり、実際のメイン監督は『太陽にほえろ!』や日本テレビの青春学園シリーズなどで実績のある児玉進監督が務めました。また、本作の放送スタートの3ヶ月前に公開された映画『帰ってきた若大将』(81年)も手がけた小谷承靖監督も、児玉監督の5本に続く4本を演出しています。

主題歌は、来生たかおさんが作曲と歌唱を担当した「Goodbye Day」。この曲は、その後も郷ひろみさんやJUJUさんなど、多くの歌手にカバーされたことでも知られる名曲です。少なくとも、サビの部分は多くの方が聴き覚えがあるのではないでしょうか。

前番組から総入れ替えとなった脚本陣は、前年まで『Gメン’75』を担当していた池田雄一さんをはじめ、後に時代小説家・隆慶一郎となる池田一朗さん、『特捜最前線』でメインライターを務めていた長坂秀佳さん、日活ニューアクション路線で活躍した佐治乾さん、といったメンバー。こうして、スタッフの名前を挙げていくだけでも豪華な本作ですが、これまで再放送やパッケージ化、配信などの機会に恵まれなかったためか、ほとんど振り返られる機会がありませんでした。それゆえ、既存の資料にも間違いなどが多く、たとえば、各種資料で「加害者の顔」とされている第2話の正式なサブタイトルは「少年たちの戦場」であり、「大都会の冷たい風」とされている第8話は「レンズは見た!!姿なき殺人者」です。第10話・第11話・第13話(最終回)なども同様なので、ぜひ今回の放送を参考に、正式なサブタイトル表を作成してみてください。

 

ここからは、せっかくなので簡単に、エピソードを紹介してみましょう。第3話「危険を買う少女」は脚本・長坂秀佳さん×監督・児玉進さんということで、『特捜最前線』×『太陽にほえろ!』といったニュアンスを感じることができるかもしれません。少年家庭特捜部の貝谷の説得で自殺を思いとどまった女子高校生・美里(池田信子)が、その数時間後に誘拐されました。犯人はなぜか、中途半端な金額の身代金を要求し、美里の母(富山真沙子)に派手な服を着させて、金を持ったまま銀座のど真ん中を歩けと要求します。いったい、犯人の目的は何なのでしょうか? そして、犯人の意外な正体とは? この回には、無名時代の内藤剛志さんもゲスト出演しています。

第9話「14才の殺し屋」(既存の資料では「十四歳の殺し屋」)は、『3年B組金八先生』(第2シリーズ)の加藤優役で脚光を浴びた直江喜一さんがメインゲスト。暴力団「上海商会」の会長(八名信夫)を殺害する少年・伸郎を演じています。伸郎は、この行為によって警視庁の捜査一課や捜査四課、そして上海商会の上部組織からも狙われることに。梶警視は相手が中学3年生の少年とわかっても、場合によっては射殺もやむなしとする捜査一課長(青木義朗)や捜査四課長(田口計)と真っ向から対立します。やがて、伸郎の父が財務次官を務める小坂(渥美国泰)と判明。小坂も、彼の妻(稲野和子)も、エリート街道を歩んでいる長男だけを大事にして、非行に走った次男の伸郎に対しては、冷酷な態度をとっていました。そこに伸郎の犯行動機があると感じた梶は、伸郎の寂しい心に、できるだけ寄り添ってやろうとするのですが……。

このように、各エピソードで少年や少女が物語に深く関わるのが、本作のポイントです。第1話には当時『翔んだカップル』(80年)を終えたばかりの桂木文さんが出演。第8話からは、8人目の刑事として成瀬正(現:成瀬正孝)さんが演じる磯田刑事がレギュラーに加わります。その他、梶の上司にあたる大岡警視長(第1、4、10~12話に登場)として、仲谷昇さんも出演。作品世界に厚みを与えていました。

初回放送から45年の時を経て、ここに帰ってくる『愛のホットライン』。各エピソードの主役となった少年・少女たちもいまや還暦を超えている(!)計算になりますが、「10代の悩み」の中身は、当時も現在も、そんなに変わらない気がします。物語の中から見えてくる人々の多様な生きざまに、思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

 

文/浮間舟人(Light Army)

 

愛のホットライン(全13話)

6月5日(金)15:00~放送スタート!

初回放送 毎週金曜日15:00~17:00

再放送 毎週金曜日9:00~11:00

2026年6月5日 | カテゴリー: その他