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むちゅー刑事
本名:ヒライズミ
棲息地(勤務地):「警視庁銀座懲怒街警察署刑事課
特徴:映画、ドラマに精通し、旨いメシ旨い酒にうるさい。
好きな言葉:「ドブネズミみたいに美しくなりたい」アーカイブ
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チューもく!! 東映テレビドラマLEGACY 第29回『六本木メランコリー』
今月の「東映テレビドラマLEGACY」は、1989年の『現代神秘サスペンス』作品『六本木メランコリー』をご紹介します。原作は、当コラムの第20回でご紹介した『花園の迷宮』、前回の『三階の魔女』と同じく、山崎洋子先生。『六本木メランコリー』は、1989年に発表された短編集『三階の魔女』に、表題作とともに収められていました。『現代神秘サスペンス』では第1話が『三階の魔女』でしたが、こちらの『六本木メランコリー』は、第4話として放送。第2話『青い髪の人魚』(製作:アズバーズ)と、第3話『人形と暮らす女』(製作:東宝)も同じく山崎先生の原作で、後者はやはり『三階の魔女』所収の作品でした。第1話の十朱幸代さんから小川知子さん、藤真利子さんと続いた主演女優は、今回は岩下志麻さん。監督は、当時まだスタートしたばかりだった『はぐれ刑事純情派』(88~05年)で第1シリーズからメインを務めていた吉川一義監督が担当しています。
倉田由紀(岩下志麻)は、広告制作会社で活躍するデザイナー。不動産業を営む夫(小坂一也)がいましたが、会社の同僚でディレクターの滝田和彦(原田芳雄)と不倫関係にありました。由紀の夫は、妻の不倫に気づいていましたが、離婚したいという妻の求めを頑なに拒否。それどころか、「滝田を交えて3人で会いたい」と由紀に告げるなど、滝田と真っ向から勝負するつもりで、由紀は悩んでいました。一方の滝田も、なかなか由紀が夫と離婚してくれないので、苛立ちをつのらせます。
そんなとき、会社に若いアシスタントとして、ショウコ(高橋ひとみ)が入ってきました。ショウコが滝田に憧れていることを知った由紀は、敢えて滝田とショウコを近づけようとします。いつしか、2人は男女の関係になっていました。しかしショウコは、滝田の心がずっと由紀のほうを向いていることに気づいてしまいます。悲しい恋愛を経験し、大人の女性へと成長したショウコは、自ら会社を去って行きました。
それから数年後、ショウコは由紀と再会。由紀から、夫や滝田との“その後”の話を聞きます。3人に、いったい何があったのでしょうか……。
実際の作品は、由紀とショウコの再会から始まります。この2人の関係性もあまり説明されないまま、物語は数年前の回想へと入っていくのですが、ある種“不親切”とも思える構成が、むしろ、本作に奥行きを与えていました。
岩下志麻さんと原田芳雄さん、といえば岩下さんの夫でもある篠田正浩監督の『はなれ瞽女(ごぜ)おりん』(77年)が思い出されます。盲目の旅芸人(=瞽女)と、下駄作りの職人の純愛物語。本作では、時代(放送当時は、まさにバブル真っ只中!)の最先端を行く男女を演じていますが、2人とも当時は40代後半にさしかかっており、大人の魅力を存分に感じさせてくれました。この2人と好対照を成すのが、2人よりは約20歳ほど若い、高橋ひとみさん。冒頭やラストで描かれる「現在」と、回想で描かれる「過去」のショウコは、滝田との恋愛を経て、かなりイメージが変わっており、高橋さんの演技力の高さが伝わってきます。ラスト、由紀とショウコが無言で見つめ合うシーンは、本作の白眉。2人の思いを言葉で説明せず、それぞれの表情に「託す」形にした演出と、2人の芝居は絶品でした。
物語のクライマックスは、ある一夜の出来事に集約されます。さまざまな思惑と、運命の悪戯が重なって起こったのは、仮に計画していたとしても、成功しなかったのではないかと思えるような、ひとつの「奇跡」といえる出来事でした。しかし、その「奇跡」は、誰かを幸せにしたのでしょうか。それとも……?
ちなみに、劇中で印象的な挿入歌となっているのは、TM NEWWORKが1987年にリリースしたアルバム「Self Control」に収録されている「Don’t Let Me Cry」。この曲は、アルバム制作当時、表題曲「Self Control」と、リードシングルの座を争っていたという逸話が残されています。
それでは、また次回へ。7月の「違いのわかる傑作サスペンス劇場」では本作のほか、当コラムの第12回で採り上げた『死ぬより辛い』(監督:佐藤肇/出演:秋野暢子、松尾嘉代ほか)、1982年の『傑作推理劇場』より『ラスト・チャンス』(監督:小澤啓一/出演:原田芳雄、大谷直子ほか)、1987年の『現代恐怖サスペンス』より『向田邦子の鮒』(監督:吉川一義/出演:井上順、香山美子ほか)、1994年の『愛と疑惑のサスペンス』より『レベル7-空白の90日-』(原作:宮部みゆき/出演:浅野ゆう子、風間トオル、永作博美ほか)が放送されます。これらの作品群も、ぜひご堪能ください。
文/伊東叶多(Light Army)
<放送日時>
『六本木メランコリー』
7月2日 (金)19:00~20:00
7月16日(金)13:00~14:00
7月26日(月)20:00~21:00
『死ぬより辛い』
7月10日(土)15:00~16:00
『ラスト・チャンス』
7月2日(金)13:00~14:00
『向田邦子の鮒』
7月3日 (土)13:00~14:00
7月16日(金)14:00~15:00
『レベル7-空白の90日-』
7月9日 (金)13:30~15:00
7月30日(金)13:30~15:00
2021年6月28日
カテゴリー: その他
その他
チューもく!! 東映テレビドラマLEGACY 第28回『三階の魔女』
今月の「東映テレビドラマLEGACY」は、1989年の『現代神秘サスペンス』作品『三階の魔女』をご紹介します。原作は、当コラムの第20回でご紹介した『花園の迷宮』で江戸川乱歩賞を受賞して小説家デビューした山崎洋子先生。『三階の魔女』は1989年に発表された短編集『三階の魔女』の表題作で、すなわち、発表から間もなく映像化されたということになります。『現代神秘サスペンス』は、この当時、関西テレビが毎年夏(7月クール)に放送していた『現代怪奇サスペンス』(86年)、『現代恐怖サスペンス』(87年)などの流れを汲むシリーズで、『三階の魔女』は第1話を飾っています。ちなみに、一連のシリーズの放送枠は月曜夜10時~の1時間枠。『現代神秘~』と同時期の「月9」ドラマは『同・級・生』(原作:柴門ふみ/脚本:坂元裕二/出演:安田成美、緒形直人ほか)で、裏番組のTBSドラマ『ママハハ・ブギ』(出演:浅野温子、織田裕二ほか)と熾烈な視聴率競争を展開していました。
さて『三階の魔女』ですが、1987年の東映京都作品『夜汽車』と同じく、監督:山下耕作&主演:十朱幸代という形で製作されました。さらに遡れば、山下監督は1963年の『関の弥太ッペ』でも、当時20歳の十朱さんをヒロイン役に起用しています。
主人公・川村真琴(十朱幸代)は、働き盛りのフリーカメラマン。若い助手(柳沢慎吾)にテキパキと指示を出しながら、エネルギッシュに仕事をこなす日々でした。
しかし、そんな真琴の人生を一変させる出来事が起こってしまいます。彼女が暮らすマンションの隣の部屋に若い男性が押し入り、主婦の美根子(島村佳江)と赤ん坊を人質にして立てこもったのです。そして、その犯人は、「自分は真琴の恋人だ」と主張していました。真琴自身には全く身に覚えがありませんでしたが、そういえば、このところマンションの様子を窺っている若い男性がいることは確認していました。とはいえ、その男性が犯人なら、真琴は勝手に好意を持たれ、このような大胆な事件を起こされてしまったことになります。真琴の部屋へ強引に上がり込んできた安藤刑事(小林稔侍)は、事件を早い段階で解決しようと、真琴に協力を要請。予想もしていなかった状況に、戸惑う真琴でしたが、犯人はさらに、異様な要求を真琴に突きつけました。なんと、自分と一緒に心中してほしいというのです。
真琴からしてみれば、迷惑この上ない話でした。しかし、このままでは、人質になっている美根子たちが危険です。情報を知ったマスコミも一斉に、この事件に飛びつきました。真琴は完全に“悪役”扱いとなり、プライバシーも猛烈な勢いで暴かれていきます。そして、事態を知って帰宅した美根子の夫・大里照夫(北村総一朗)も、真琴を激しく責めました。やがて真琴は、ある決意を固めます……。
1時間ドラマなので、あらすじ紹介はこのへんで。中盤以降、驚愕の「どんでん返し」が待っています。あらすじ紹介では敢えて省略した、冒頭の「ちょっとしたやりとり」を観ていれば、もしかしたら早めに、本作の「オチ」に気がつくかもしれませんが……。
それにしても、本作のコワさは、マスコミが遠慮なく、真琴の個人情報などを晒していくくだりです。もちろん、ドラマゆえの誇張はありますし、現在では、さすがにここまで個人情報が無神経に扱われる可能性は低いでしょう。とはいえ、先日の東京都立川市で発生した事件では、犯人の名前が(未成年ゆえ)伏せられた一方で、被害者の名前だけが何の遠慮もなく発表されたりと、人権に対する考え方という点で、ひじょうにバランスを欠いた報道が(相変わらず!)なされています。『三階の魔女』はミステリとしての面白さだけでなく、ある種の社会風刺という視点も備えている点で、令和の現在における視聴にも、じゅうぶん耐えうるドラマなのではないでしょうか。ともすれば、「暗さ」が作品全体を支配しそうな筋立てではありますが、序盤における真琴と助手の描写がポップで、救いになっていました。出番は少なめながらも、柳沢慎吾さんというキャスティングは成功だったと言えましょう。また、原作での真琴の職業はホステスで、物語の展開上はそのほうが確かに「しっくりくる」のですが、映像化にあたって「カメラマン」と設定したことが、クライマックスで大きな意味を持ちます。この改変は「なるほど」と唸る工夫なので、ぜひ注目してください。
それでは、また次回へ。6月の「違いのわかる傑作サスペンス劇場」では本作のほか、当コラムの第11回で採り上げた『暗い穴の底で』(脚本:長坂秀佳/監督:天野利彦/出演:近藤正臣、山口果林ほか)、1981年の『傑作推理劇場』より『異人館の遺言書』(出演:フランキー堺、春川ますみ、岡田真澄ほか)、1992年の『不思議サスペンス』より『姿のない尋ね人』(監督:崔洋一/出演:古尾谷雅人、黒田福美、内藤剛志ほか)、1986年の『山村美紗サスペンス』より『死人が夜ピアノを弾く』(脚本・監督:中島貞夫/出演:松方弘樹、松尾嘉代、西田健ほか)が放送されます。これらの作品群も、ぜひご堪能ください。
文/伊東叶多(Light Army)
<放送日時>
『三階の魔女』
6月7日(月)14:00~15:00
6月14日(月)11:00~12:00
6月25日(金)19:00~19:50
『暗い穴の底で』
6月22日(火)10:00~11:00
『異人館の遺言書』
6月11日(金)14:00~15:00
『姿のない尋ね人』
6月15日(火)16:00~17:00
『死人が夜ピアノを弾く』
6月11日(金)12:30~14:00
2021年6月6日
カテゴリー: その他
かめぽん
チューもく!! さよなら、美意識を貫いた美しき人 田村正和
未だ解けない緊急事態宣言の中、この方の訃報に触れた。
私にとって正和さまはニヒルな剣士のイメージが強い。
不思議なご縁なのだが、かめぽんは彼の多分初めてであろう舞台と、最後になった舞台を拝見する機会があった。
最初の舞台は子供の頃、正和さまと杉良ファンの母が、知人から招待を受けた舞台に子供の頃の私を連れて行ってくれた。
初めて見る舞台が桟敷、それも眠狂四郎^^;
子供にはもったいない初観劇で、しかもよく覚えていない。
ただ、舞台の上でライトを浴びた正和さまが綺麗だなあと、そんなことを思いながら観ていた。
そして、最後の舞台であった「新・乾いて候 そなたもおなじ野の花か」。
東映チャンネルで今月追悼放映される「乾いて候」を舞台化したものだ。
こちらは正和さま大好きな友人に誘われて行ったのだが、席が花道の横。
それも微妙に端っこで、友人のほか正和さまファンの方々がゲットしてくれた席にしては半端な位置だなと正直そう思ったのだが、舞台が始まってみると、ファン恐るべし、なんと、我々の席の真横の花道で正和さまが立ち止まり台詞を言うのだ。
友人曰く、すっごいいい香りがした…そうである。
舞台の構成を熟知し、少しでもお側にと思うファンの方が取ってくれた席というのはすごいなと実感した。
かめぽん的にはこの舞台、金田龍之介さん、外山高士さん、江幡高志さんがご出演で、それが凄くツボだった。
美しくて、友人に付き合って出待ちをした時に横を通られた正和さまからキラキラのスターオーラが出ていたっけ。
かめぽんの人生を彩ってくれた素敵な思い出をありがとうございました。
さて、今月の東映チャンネルもバラエティにとんでおります。
一押しは「一挙放送! 仁義なき戦い」。一挙放送ですよ!続けてみると、同じ俳優さんが違う役をやっていてちょっと混乱しますが、それもまた楽しい。役者さんってすごいな、と素直に感心してしまいます。
怖いもの好きな人は「犬鳴村放送記念 日本のヤバい村」。かめぽん、ホラーは苦手なくせについつい観てしまい後悔するんですよ。海外のスプラッタも怖いですが、日本のホラーはジワジワくる。そのジワジワが本当に怖いので、蒸し暑い夜にぜひ。
「仮面ライダー生誕50周年【昭和ライダー全員集合!】」はかめぽん世代にドンピシャ←死語か?だし、「生誕90年 高倉健特集 Vol.5」は昭和残俠伝を中心に。
時代劇では先月取り上げた橋蔵さんの「紅顔の密使」やかめぽんが大好きだった夏八木勲さんの「牙狼之介」も。
6月もまだ不自由な生活を強いられますが、映像の中で思う存分弾けましょう。
エンターテインメントがあって本当に良かった。映画館も再開して嬉しいぞ。
今月もわくわくな東映チャンネルをお楽しみに。
2021年6月1日
カテゴリー: かめぽん