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その他

チューもく!! 東映テレビドラマLEGACY 第14回『不安な階段』

春・4月。本来なら、新年度の明るいムードに包まれた季節なのですが、今年ばかりはそうもいかず、悶々とした毎日を過ごしている方も多いと存じます。そんなときこそ東映チャンネル……と言うと不謹慎かもしれませんが、新旧さまざまな東映作品をご覧いただき、しばしフィクションの世界へ旅していただければと思っています。

さて今月は、いよいよ一連の『傑作推理劇場』シリーズでは最後の放送作品となる、『不安な階段』をご紹介します。本作が放送されたのは、1982年4月15日。『春の傑作推理劇場』全体としても、本作が最終回でした。当時と同じく、今回は4月の放送ということで、それを念頭に置いてご視聴いただくのも一興でしょう。原作は夏樹静子先生の『階段』。監督は『不良番長』シリーズ(68~72年)などを経て70年代後半からは本格的に活躍の場をテレビへと移行し、当時は『特捜最前線』(77~87年)のローテーションの一翼を担っていた野田幸男さんでした。82年1月~3月期だけでも『特捜』を4話分、手がけています。

 

ブティックを経営している36歳の美しき未亡人・芳村杏子(浜木綿子)には、小学6年生になる長女・ユキコ(仙道敦子)がいました。仕事が忙しいため、家事はお手伝いの郷田君枝(乙羽信子)がこなしていました。杏子と同じく夫を亡くしている君枝はとてもおしゃべりな性格で、何かと言えば亡き夫の自慢話をするのですが、杏子とはウマが合っているようで、芳村家は一見、幸せな様子でした。

しかし、まだじゅうぶんに若い杏子は、新しい恋をしていました。相手は、ブティックの経理関係を任せている北島哲夫(荻島真一)。ある夜、哲夫は杏子を家まで送り届けると、そのまま杏子の家で仕事の続きをやりたいと言い出しました。杏子は複雑な年頃のユキコのことを慮り、哲夫を帰そうとしますが、彼は動こうとしません。結局、ユキコを寝かしつけた後、哲夫と杏子は情事に及びます。翌朝、杏子が部屋を出ると、部屋の前には、ユキコのヘアピンが落ちていました。ユキコに自分たちのことを知られたのかもしれないと、動揺する杏子。しかし哲夫のほうは平然としていました。

間もなく、杏子は店へと出勤。ユキコも小学校へと登校しますが、哲夫はそのまま、家に残って仕事を続けました。その日の午後、杏子は警察から電話を受けて驚きます。なんと、哲夫が芳村家の階段から転落し、死亡したというのです。杏子は、母親であるにもかかわらず、咄嗟にユキコのことを疑ってしまいました。哲夫が死亡したと思われる時刻、ユキコはすでに下校し、家に帰っていた可能性があるのです……。

 

というわけで、物語の焦点は「哲夫の死は事故なのか、あるいは他殺なのか」に絞られていきます。そして他殺だとした場合、犯人は誰なのか? 動機がありそうなのはユキコですが、そう思っているのは母の杏子だけですし、それどころか、その動機が間違いなければ、自分にも大きな責任があることになり……。母親であるとともにひとりの女性でもある杏子の複雑な心情を、浜木綿子さんが見事に表現されていました。

そして、本作のもうひとりの主人公といえるユキコを演じたのが子役時代の仙道敦子さんです。整った顔立ちには、すでに現在(50歳!)の仙道さんの面影が、はっきりとあります。撮影当時、仙道さんは実際に小学6年生でしたが、年齢よりも少し大人っぽい雰囲気を醸し出しており、今回の役柄にはピッタリなイメージだったと思います。本作の前年、テレビ朝日の『判決-生きる』(81年)にレギュラー出演した仙道さんは、その演技力を認められ、1982年には『鬼龍院花子の生涯』(6月公開)、『大日本帝国』(8月公開)という東映の大作2本に立て続けに出演。まさに、ブレイク前夜でした。結婚後、90年代の中盤からは芸能活動をほぼ休止されていましたが、2018年に本格復帰。NHK朝の連続テレビ小説『なつぞら』(19年)への出演は、記憶に新しいところでしょう。

キャストでもうひとり、触れておきたいのが君枝役の乙羽信子さんです。君枝がお手伝いとして働いている芳村家で発生した事件(事故?)なので、当然ながら、君枝もキーパーソンのひとりです。彼女が事件について何を知っているのか……は本編をご覧いただくとして、当時の乙羽さんといえば、星野知子さん主演でスペシャルドラマが計8作にわたって放送された『サザエさん』(81~85年)で、フネ役を演じていました。そして、驚異的な視聴率を獲得したNHK朝の連続テレビ小説『おしん』(83年)では、主人公・おしんの中年~老年期を担当。還暦を前に、女優としてノリにノッていた時期と言えるでしょう。

タイトルの『不安な階段』とはもちろん、哲夫が死亡する原因となった、芳村家の階段のこと。この階段、もともと手すりがなく、見るからに危険な作りになっていますが、なぜそんな階段なのかは、劇中で説明が加えられています。とはいえ、それにしても、もっと早く(ユキコが幼いうちに)手すりをつけておくべきだったのではないかと思ってしまいますが、そういうツッコミは野暮というものでしょう。なお、この点が気にかかる方はきっと、結末についても若干「?」となりそうですが……。

また杏子が経営するブティックとして撮影に使用されているのは、クレジットによれば「ミレーヌ友田」の直営店舗のようです。「ミレーヌ友田」は70年代に創業し、80年代にパーティードレスやフォーマルドレスの分野で一時代を築いたブランドでした。

 

それでは、また次回へ。なお、4月の「違いのわかるサスペンス劇場」では本作のほか、1980年の『土曜ワイド劇場』より『京舞妓殺人事件』(監督:牧口雄二/脚本:大和屋竺/出演:長門裕之ほか/東映チャンネル初放送)、1993年の『サスペンス・明日の13章』より『変身 もう一人の私』(監督:黒沢直輔/脚本:信本敬子/出演:伊藤かずえ、蟹江敬三、石濱朗ほか)、1988年の『京都サスペンス』より『マルゴォの杯』(監督:山下耕作/脚本:橋本綾/出演:岩下志麻、奈良岡朋子、石橋蓮司ほか)も放送されます。これらの作品群もぜひ、ご堪能ください!

 

文/伊東叶多

 

<放送日時>

『不安な階段』

4月4日(土)13:00~14:00

4月11日(土)14:00~14:50

4月19日(日)15:00~16:00

 

『京舞妓殺人事件』

4月4日(土)14:00~15:50

4月18日(土)14:00~15:50

4月25日(土)13:00~15:00

 

『変身 もう一人の私』

4月5日(日)15:00~16:00

4月18日(土)13:00~14:00

 

『マルゴォの杯』

4月11日(土)13:00~14:00

4月25日(土)15:00~16:00

2020年3月17日 | カテゴリー: その他
かめぽん

チューもく!! 日活出身なのに時代劇スター。いまも顔力凄いです。 高橋英樹

先月は我がアイドル秀樹を取り上げ、今月は時代劇の英樹。どんだけHIDEKIが好きなんだなかめぽんです。

2月から放映されております池波正太郎先生原作の「編笠十兵衛」。原作もドラマも大好きな作品。若くて美しい英樹さまが主人公の月森十兵衛、その上司の中根正冬を片岡知恵蔵さんが演じた。二人の濃い顔対決も見所だが、本作は脇を固める役者さんがこれまたかめぽん好み。十兵衛を執拗に追いかける男、舟津弥九郎役は成田三樹夫さん。奥田孫太夫の大友柳太朗さんや俵星玄蕃の長門勇さん、小林平八の露口茂さん、柳沢吉保の岡田英次さんもツボ。吉良上野介は伊藤雄之助さんだし、忠臣蔵に絡めての幕府の思惑、世論の動向など、もしかしてこんなことがあったかも…と思うようなリアルなストリーが楽しめる。
女優陣も十兵衛の妻静江役の藤浩子さんや、瑤泉院の宮園純子さん、十兵衛の密偵千弥役の中島ゆたかさんの静かな中に燃える情念がたまらない。千弥は原作でも好きな役なので、ぜひ注目していただきたい。
忠臣蔵大好きかめぽんオススメの1作。

202003

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いま、世の中は新型肺炎の影響で様々なイベントが中止され、景気も気分も停滞している。そんなときに少しでも気分をあげる作品を、おうちで観るのはいかがだろう。TVの前でひととき、非現実な世界に没頭していただきたい。
「人生が豊かになる食の映画特集」は観ているだけでお腹が空く作品2本を放映。
子供たちには「映画プリキュアミラクルリープ みんなとの不思議な1日』公開記念【プリキュア映画カーニバル!2020春」や「仮面ライダービルド スペシャル」を。
スカッとする時代劇の「オールスター清水の次郎長スペシャル」や「一挙放送!侠道」もオススメ。
おうちで家族揃って過ごす、そんな春。
手洗いを十分して、よく寝て、よく食べて。
素敵な作品をたくさん観て、たくさん笑って、泣いて。
SARSにMERS、新型インフル等、いままでも人々の英知で乗り越えてきました。
コロナウィルスも克服できると信じてます。
みなさま、くれぐれもご自愛ください。

今月もわくわくな東映チャンネルをお見逃しなく〜

2020年3月2日 | カテゴリー: かめぽん