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むちゅー刑事
本名:ヒライズミ
棲息地(勤務地):「警視庁銀座懲怒街警察署刑事課
特徴:映画、ドラマに精通し、旨いメシ旨い酒にうるさい。
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チューもく!! 東映テレビドラマLEGACY 第17回『非行少年』
今月の「東映テレビドラマLEGACY」は、1985年の「火曜サスペンス劇場」作品より、『非行少年』をご紹介します。原作は、1978年に直木賞を受賞し、織田信長が主人公の「下天は夢か」など、多くの代表作を持つ津本陽先生。短編集「南海綺譚」(80年)や「前科持ち」(82年)には、和歌山市警の部長刑事・村野というキャラクターが登場するのですが、本作『非行少年』は「前科持ち」所収の一編「わくら葉が散った」を基にした作品でした。ドラマ化にあたり、物語の舞台は東京となり、村野刑事の所属は「渋谷南署」へと変更されています。
脚本は『Gメン75』や『キイハンター』、アニメ『マジンガーZ』などで知られる高久進さん。実は『Gメン』の一編「怪談・死霊の棲む家」(第273話)は、「南海綺譚」所収の「魔物の時間」を原作としていました。そして、この第273話を皮切りに、Gメンの立花警部(若林豪)が「長野県黒谷町」という架空の村を舞台に残虐な凶悪犯と対決していくという、俗称「黒谷町シリーズ」が始まり、『Gメン』後期を代表する企画として定着したのですが、このシリーズを手がけたのが高久さん(脚本)と小松範任監督でした。つまり、本作『非行少年』は、『Gメン』以来の高久さん(&小松監督)と津本先生の関係で成立した作品と言っても差し支えないのです。「黒谷町シリーズ」の名物(?)キャラ・望月源治(蟹江敬三)が持っていた「怖さ」も、そのままではないにせよ、本作で菅貫太郎さんが演じている島崎にも受け継がれているように思います。
渋谷南署の捜査課に勤務する部長刑事・村野(石立鉄男)は、中年にさしかかってから陽子(友里千賀子)と結婚しました。郊外の高層団地で、夫婦2人だけで暮らしていましたが、やがて陽子が妊娠。晴れて父親となる日を楽しみにしながら、日々の捜査に精を出していました。
ある日、渋谷南署に、2人の非行少年が連行されました。公園で浮浪者が殴り殺された事件の容疑者として……。ひとりは菅沼徹(坂井徹)。もうひとりは中出達也(吉田友紀)。達也の苗字に心当たりがあった村野は、道玄坂で「ひさご」という小料理屋を営んでいるという達也の母親に早速、会いに行きました。村野の想像通り、達也の母は彼がかつて愛した、中出美代子(岩井友見)でした。16年ぶりの、思いがけない再会。女手ひとつで達也を育ててきた美代子はいま、非行に走ってしまった達也に、手を焼いていました。そんな「美代ちゃん」の苦悩を知った村野は、達也をなんとかして更生させようと考え、証拠不十分で釈放の身となった達也をいきなり自宅へ連れて行きました。しかし、夫から何も詳しいことを聞いていない陽子は、達也にどう接すれば良いのか分かりません。そして達也自身も、なぜ刑事である村野がここまで自分と母親のことに肩入れするのか分からず戸惑いました。村野の家を出て、自分の家に帰った達也は、また大暴れ。「ひさご」の客たちも気分を悪くして、帰ってしまう始末です。これでは店を続けられないと嘆く美代子でしたが、達也に反省の色は感じられませんでした。
やがて、村野は達也に関する「ある事実」に突き当たります。衝撃を受けた村野刑事でしたが、その「事実」は、妊娠中の妻・陽子をも苦しめることになりました。一方、達也や徹といった渋谷の不良少年・少女たちを自らの子分のようにこき使っていたのは、かつて村野に逮捕された、やくざの島崎(菅貫太郎)でした。村野に恨みを抱く島崎は、達也の仲間のひとり・木口カヨ(桑田和美)に対し、「達也にシャブ(覚醒剤)を打ってこい」と命令します。達也を覚醒剤中毒にすることで、村野をも苦しめようと考えたのです。カヨは達也を呼び出し、2人は廃工場で会いましたが、その後、カヨは遺体で発見されました。容疑者となったのは、現場から急いで走り去った達也。彼は殺人を犯してしまったのでしょうか。村野は、犯人は達也ではないと信じ、必死で捜査を進めますが……。
一枚の病(わくら)葉が、周りの葉もダメにしてしまうように、ひとりの非行少年=達也の存在が、本来は無関係だったはずの村野家まで崩壊へと導いていく……。達也は決して病葉ではないと信じながらも、どんどん立場的に追い込まれていく村野刑事の姿が印象的です。村野役の石立鉄男さんは、1970~80年代のテレビドラマ界を代表する人気俳優。東映作品では「土曜ワイド劇場」の「三毛猫ホームズ」シリーズ(79~84年)などでも活躍されていました。シリアスからコメディまで、幅広くこなす石立さんですが、本作では自分の「青春」に決着をつけようとする中年刑事という役柄を熱く演じています。タイトルロールでもある非行少年・達也役は『俺はあばれはっちゃく』(79年)で主演だった、子役出身の吉田友紀さん。石立さん、そして友里千賀子さんとは、すでに『気まぐれ本格派』(77年)で共演経験があるので、3人のシーンを観て、既視感を抱く方も多いのではないかと思います。同様に、村野の上司にあたる滝口刑事役の内藤武敏さんも、前述の「三毛猫~」においても、石立さんが演じた主人公・片山刑事の上司役でした。
本作で、圧倒的な存在感を示すのが、島崎役の菅貫太郎さん。テレビ時代劇の名悪役としてのイメージが強い方ですが、今回は、いわゆる類型的な悪役キャラとは一線を画した役作りで、持ち前の演技力が存分に活かされていました。達也の不良仲間役は、坂井徹さんや桑田和美さんが演じています。本作の放送日の2日後にスタートしたのが、80年代の伝説的なドラマ『スケバン刑事Ⅱ 少女鉄仮面伝説』(85年)なのですが、坂井さんも桑田さんも『スケバン刑事Ⅲ 少女忍法帖伝奇』(86年)では、忍者役でゲスト出演していました。
村野が「渋谷南署」勤務ということで、80年代中盤の渋谷の街でロケが敢行され、貴重な映像となっています。一方で、冒頭とラストに登場する村野の自宅アパート付近は、板橋区高島平でロケ。高島平から渋谷というのは、現実で考えると、通勤経路としては決して便利ではないのですが、練馬区に撮影所(大泉)を持つ東映の作品では、高島平付近は現在でも、ロケ地として頻繁に使用されているのです。
今回も、あらすじ部分に登場しなかったキャストの顔ぶれを軽く紹介しておきましょう。村野の同僚刑事・平林役は大場順さん。本作の翌年より、「火曜サスペンス劇場」の人気シリーズ「監察医・室生亜季子」に、やはり刑事役で参加して、2007年のシリーズ終了まで皆勤しました。このほか、青木刑事に『科学戦隊ダイナマン』(83年)のメギド王子役で知られる林健樹さん。少年課の刑事には『特別機動捜査隊』の後期(74~77年)に矢崎班の谷山部長刑事役で出演していた和崎俊哉さんが扮しています。美代子の店「ひさご」で働く若い女性・春恵役を演じた愛田夏希さんは、本作の放送の2週間後より、『特捜最前線』にレギュラー参加。特命課の江崎婦警として、最終回(87年)まで出演されました。
それでは、また次回へ。なお、7月の「違いのわかるサスペンス劇場」では本作のほか、1984年の『火曜サスペンス劇場』より『沈黙は罠』(原作:夏樹静子/脚本:橋本綾/出演:香山美子、山本圭ほか)、1973年の『サスペンスシリーズ』より『人妻恐怖・地獄道路』(監督:降旗康男/出演:野際陽子、中丸忠雄ほか)、『現代鬼婆考・殺愛』(監督:竹本弘一/出演:千葉真一、志穂美悦子、野際陽子ほか)が放送されます。これらの作品群もぜひ、ご堪能ください。
【7月の『刑事くん』(第2シリーズ)】
7月、新登場となるエピソードは第3話から第10話まで。その中から、第5話「青空の待つ日」(脚本:長坂秀佳/監督:竹本弘一/1973年5月14日放送)を紹介します。
有名作曲家の御園が、自宅で殺害されました。後頭部を何かで殴られたことが死因だと思われましたが、現場に凶器は残されていませんでした。そんな中、三神刑事(桜木健一)は部屋に飾られていた写真から、高価そうな青銅の置物が、部屋から消えていることに気づきます。御園家のお手伝いさん(原ひさ子)は、置物は少なくとも、殺人事件が発生する直前まで、部屋にあったはずだと証言しました。凶器はその置物である可能性が高くなりましたが、果たして犯人は誰なのでしょうか。宗方刑事(三浦友和)は、父親が殺されたばかりでショックを受けている娘・アケミ(麻丘めぐみ)にも、容赦なくアリバイを尋ねます。動揺するアケミ。容疑者として考えられるのは他に、御園の弟子であるマキハラ(沢木順)とヤベ(田辺進三)の2人がいましたが、彼らのアリバイは完璧で……。
第3話(郷ひろみ)、第4話(森昌子)に続く、当時の若手スターのゲスト出演エピソードです。麻丘さんは子役、モデルを経て1972年に歌手デビュー。その年末の「日本レコード大賞」では、最優秀新人賞を受賞していました。本作のラストで流れるのは、1973年1月にリリースされた3rdシングル「女の子なんだもん」。代表曲として知られる「わたしの彼は左きき」がリリースされるのは1973年7月なので、本作への出演当時は、まさにアイドル歌手としての人気が頂点に達しようとしていた時期だったと言えます。
そんな麻丘さんが演じるアケミは、どうやら、父親の弟子のひとりに対して、ほのかな思いを寄せていたようです。その人物が殺人容疑者として捜査線上に浮かんだとき、純朴な少女・アケミの心は? そして、完璧であるかに思われた容疑者のアリバイを、三神刑事はどのように崩すのでしょうか……。
麻丘めぐみさんの初々しさと可憐さは必見。また、三神刑事の捜査方法は「あっと驚く」もので、彼のまっすぐな性格そのものが、事件の謎を解いたと言っても過言ではないでしょう。マキハラを演じたのは後に劇団四季のミュージカルスターとして活躍することになる沢木順さん。近年も現役として活動中の沢木さんですが、映像作品への出演は珍しく、ブレイク前ゆえの、貴重なフィルムとなっています。本作と同時期には『ウルトラマンタロウ』主題歌のカバーバージョンを発表。こちらも、現在では「知る人ぞ知る」音源となっているようです。もうひとりの弟子・ヤベ役の田辺進三(後に「田辺宏章」へと改名)さんは、俳優のほか、1980年代には声優としても活躍されていました。
7月の『刑事くん』(第2シリーズ)ではこの他、第6話に松坂慶子さん、第10話に竹下景子さんがゲスト出演されています。どうぞ、お楽しみに!
文/伊東叶多
<放送日時>
『非行少年』
7月11日(土)14:00~15:50
7月25日(土)13:00~15:00
7月31日(金)20:00~22:00
『沈黙は罠』
7月4日(土)13:00~15:00
7月18日(土)14:00~16:00
7月30日(木)20:00~22:00
『人妻恐怖・地獄道路』
7月4日(土)15:00~16:00
7月9日(木)14:00~15:00
7月18日(土)13:00~14:00
『現代鬼婆考・殺愛』
7月11日(土)13:00~14:00
7月25日(土)15:00~16:00
『刑事くん』(第2シリーズ)
毎週月曜日18:00~19:00(2話ずつ放送)
再放送:毎週金曜日7:00~8:00
『刑事くん』(第1シリーズ)
毎週木曜日19:00~20:00(2話ずつ放送)
2020年6月26日
カテゴリー: その他
その他
チューもく!! 東映テレビドラマLEGACY 特別編(第16.5回) 『刑事くん』第2シリーズ、いよいよ放送スタート!
「さて来週、4月16日からはみなさまのご要望に応え、熱血漢・桜木健一の『刑事くん』がふたたび登場します。盗みの疑いをかけられた三神鉄男は、犯人捜しに乗り出したが、鉄男がそこで見たものは、ささやかな夢を求める若者の姿であった。鉄男は決心した。刑事でなければ、できないことがある。もう一度、刑事になろう。第1回『刑事くん/ぼくたちの春』は、千葉真一をゲストに迎えてお送りします。どうぞ、お楽しみに!」
(新番組予告より/ナレーション:村越伊知郎)
……というわけで、6月29日からはみなさまのご要望に応え、熱血漢・桜木健一の『刑事くん』がふたたび東映チャンネルに登場します。これを記念し、「東映テレビドラマLEGACY」も特別編(第16.5回)として『刑事くん』をご紹介。1970年代の「30分ドラマ」では人気の面でも内容においてもトップクラスに位置する本作が後世に語り継がれていくことを願って――。
そもそも『刑事くん』は、“スポーツ&根性もの”ブームの一翼を担ったドラマ『柔道一直線』(69~71年)の主演で青春スターの座をつかんだ桜木健一さんの、次なる活躍の場として用意された作品でした。
実際には『刑事くん』より前に、『柔道一直線』と同じく梶原一騎先生の原作、桜木さん&吉沢京子さんの主演、東映の製作で『太陽の恋人』という学園ドラマ(1時間枠)が放送されていましたが、こちらは1クール(3ヶ月)で終了。桜木さんは、ここで実質的に学生役を卒業し、今度はスーツ姿で「新米刑事」役に挑むことになったのです。いまの時代、「刑事くん」というと、フィギュアスケーターの田中刑事さん(本名!)を思い出す方が多いかもしれませんが、新米刑事の成長を描くドラマのタイトルとして『刑事くん』は秀逸だったと言えるでしょう。前例として、水木しげる先生の『悪魔くん』や藤子不二雄Ⓐ先生の『怪物くん』などもありますが、『刑事くん』の企画者は、その『悪魔くん』を実写化(66~67年)してヒットさせた実績のある、東映の平山亨プロデューサーでした。
『刑事くん』での桜木さんの役柄は、三神鉄男。父親も刑事でしたが、ある事件で殉職。鉄男は、この事件の真犯人を自分の手で捕まえるために、刑事になったのです。しかし、現実に刑事という職についたら、当然ながら、特定の事件を自分の都合で捜査するわけにはいきません。猪突猛進の熱血漢にして人情家の鉄男は、それぞれの事件の関係者に感情移入するあまり、日々失敗の連続。それでも、上司の時村は、そんな鉄男を全否定することなく、時に厳しく、時に優しく、見守り続けるのでした。
時村を演じるのは、名古屋章さん。企画チーム(東映=平山亨さん&齋藤頼照さん、TBS=橋本洋二さん)をはじめ、初期話数の脚本を手がけた佐々木守さんや、監督の奥中惇夫さん、富田(冨田)義治さん、そして名古屋さんといったメンバーは『柔道一直線』からの続投であり、桜木さんとの相性も抜群でした。ここに、当時はまだ若手だった市川森一さんや長坂秀佳さんといった、後のテレビドラマ界を支えることになる脚本家たちが加わったことで、『刑事くん』は「70年代型」刑事ドラマとでも言うべきスタンスを確立していきます。極めてシンプルに言えば、「犯人」あるいは「事件」が主役になることが多かった60年代までの刑事ドラマに対し、「犯人」あるいは「事件」を追う側の“刑事”が主役になっていったのが「70年代型」刑事ドラマ。主役の刑事が事件もしくは犯人と接して何を感じ、それが彼という人間にどんな影響を与えたか、といった描き方が生まれたのです。もちろん70年代の刑事ドラマすべてがこういったパターンになったわけではなく、あくまで「新たな潮流」ではあるのですが、『刑事くん』と、その翌年にスタートした『太陽にほえろ!』が、一つの流れを決定づけたと言えるでしょう。『刑事くん』の三神鉄男と上司・時村の関係は、そのまま『太陽にほえろ!』におけるマカロニ刑事(萩原健一)やジーパン刑事(松田優作)とボスこと藤堂(石原裕次郎)のそれでした。この構図に先鞭をつけたという点でも『刑事くん』は評価されるべき作品ですが、さらに遡れば、このような関係性の描き方は一連の“スポーツ&根性もの”の流れを汲んでいるわけで、「70年代型」刑事ドラマの誕生は、時代の移り変わりが導いた「必然」だったのかもしれません。
新鮮なイメージの刑事ドラマとして早い段階で視聴者を惹きつけることに成功した『刑事くん』ですが、ヒットの要因として、若者に人気のある新鋭スターを次々とゲスト出演させたことも忘れてはならないでしょう。第1シリーズの第12話「もどらない日々」で萩原健一さんが登場し、話題を呼んだことがきっかけとなって、第3クールへと突入した1972年・春期の放送回(第32~35話)では、沢田研二さん、小柳ルミ子さん、南沙織さん、天地真理さんが次々と出演しました。内容面の充実に加え、抜群の宣伝施策も功を奏し、『刑事くん』は高い評価のまま、1年あまりの放送期間を終えます。その最終回となった第57話「人間たちの祭り」では、ついに三神鉄男は父が命を落とした事件の真犯人に辿り着くのですが、現在も東映チャンネルで第1シリーズがリピート放送中ゆえ、具体的な顛末まではここでは触れないことにします。ともあれ、そもそも自分が刑事になった「動機」の部分がなくなった以上、鉄男が刑事を続ける選択肢はありませんでした。さまざまな経験を積んで傷つき、同時に成長した鉄男は刑事を辞め、「人間たち」の中で生きていく決意を固めたのです。
こうして『刑事くん』は終了。翌週からは、同じく桜木健一さんの主演による時代劇『熱血猿飛佐助』が放送されました。昭和40年代は、まだ子ども向けの「30分時代劇」というジャンルが残っていた時代。同時期には、『快傑ライオン丸』や『変身忍者嵐』などの特撮ヒーロー時代劇も登場していた中、『熱血猿飛佐助』も健闘し、2クール(半年間)の放送を終えます。そして、その後を受ける形になったのが『刑事くん』第2シリーズでした。当時は『刑事くん』や『熱血猿飛佐助』と並行して、『君たちは魚だ』や『まんまる四角』といった1時間枠のドラマにも出演していた桜木さんでしたが、その中でも、『刑事くん』の三神鉄男は『柔道一直線』の一条直也に続く「当たり役」となったようです。
東映チャンネルで6月末よりスタートする『刑事くん』第2シリーズは、1973年4月から放送されました。冒頭で引用した新番組予告からもお分かりのように、その第1話では、当然ながら、三神鉄男の「復職」が描かれます。第1話でしか描かれない、「元・刑事」という状況の鉄男の日常や、彼が復職を決意することになった、ある事件との関わりに注目して、ご覧ください。ゲスト出演の千葉真一さんは当時、5年間にわたってレギュラー出演した『キイハンター』を終えたばかり。そして4月末には大友勝利役で新境地を開拓した『仁義なき戦い 広島死闘篇』の公開を控えており、まさに「ノリにノッている」時期の出演でした。千葉さんは、同じ1973年4月には『ロボット刑事』の第1・2話にもゲスト出演。この時期、“千葉真一”という名前が若い視聴者層にとって、どれだけ効果的だったかを示す事実だと言えるでしょう。一方で、これらの番組に多忙にもかかわらず出演し、後に続く若手たちを積極的に応援した“チバちゃん”のフットワークの軽さ、度量の大きさも記憶したいところです。
第2シリーズの新登場キャラクターで注目すべきは、鉄男のライバル的な存在となる同僚刑事・宗方です。演じたのは、当時21歳の三浦友和さん。1972年に『シークレット部隊』で俳優デビューし、『剣道一本!』で早くも初主演を飾っていた二枚目俳優が、本作に新風を吹き込みます。このほか、『サインはV』(69~70年)への出演でブレイクした中山麻理さんも婦人警官・吉本真琴役でレギュラー入り。鉄男、宗方、吉本真琴の3人がドラマの主軸となるフォーマットが確立されました。
第2話以降の展開についても少し触れておくと、第3話~第6話が早くも「豪華ゲスト月間」となります。第3話は郷ひろみさん、第4話は森昌子さん、第5話は麻丘めぐみさん。そして第6話には、同時期にNHK大河ドラマ『国盗り物語』(濃姫役)をはじめ、『愛がはじまるとき』『思い橋』といった3本の作品に出演して大ブレイク中だった松坂慶子さんが出演しました。シリーズ再開の初期エピソードだけあって、どの回も充実した内容なので、楽しみにしていただければと思います。そうそう、第4話では森昌子さんの友人役で、放送日の2週間後(1973年5月21日)に歌手デビューを控えていた、後のビッグスターが出演しています。デビュー前ということもあって、画面への登場時間はわずか10秒。決して見逃さないでください。ちなみに、本作では残念ながら、“まだ”三浦友和さんとの共演シーンはありませんでした(と書けば、誰のことだか想像つきますよね?)。
なお『刑事くん』はこの後、第3シリーズまで桜木さんが主演し、新たに星正人さんが主演となった第4シリーズまで続きます。こちらの放送は未定ですが、まさに東映の「LEGACY」と言えるシリーズなので、期待したいところです。もちろん『刑事くん』に限らず本文で触れた『太陽の恋人』や『熱血猿飛佐助』の放送も待たれるところ。筆者に同意の方はぜひ、東映チャンネルまで熱いリクエストをお寄せくださいませ!
文/伊東叶多
<放送日時>
『刑事くん』(第2シリーズ)
6月29日(月)スタート
毎週月曜日18:00~19:00(2話ずつ放送)
再放送:毎週金曜日7:00~8:00
脚本:佐々木守、市川森一、長坂秀佳、小山内美江子ほか
監督:富田義治、竹本弘一、村山新治、小松範任ほか
音楽:菊池俊輔
出演:桜木健一、中山麻理、三浦友和、名古屋章ほか
『刑事くん』(第1シリーズ)
毎週木曜日19:00~20:00(2話ずつ放送)
脚本:佐々木守、市川森一、長坂秀佳ほか
監督:奥中惇夫、富田義治、竹本弘一ほか
音楽:菊池俊輔
出演:桜木健一、仲雅美、名古屋章ほか
『柔道一直線』
毎週水曜日18:00~19:00(2話ずつ放送)
脚本:佐々木守、上原正三ほか
監督:奥中惇夫、富田義治ほか
音楽:みぞかみひでお
出演:桜木健一、高松英郎ほか
2020年6月12日
カテゴリー: その他
その他
チューもく!! 東映テレビドラマLEGACY 第16回『運命の旅路』
今月の「東映テレビドラマLEGACY」は先月と同じく1980年の「土曜ワイド劇場」作品より、11月の「ゴールデン推理」第3弾として放送された『運命の旅路 謎の特急出雲1号』をご紹介します。原作は、1966年に「殺人の棋譜」で第12回江戸川乱歩賞を受賞された斎藤(本作のクレジットでは「斉藤」)栄先生が1978年に発表した作品です。この作品の後、斎藤先生は「運命の死角」(79年)、「運命の青春」(81年)を発表。「運命の旅路」と合わせて「運命三部作」と位置づけているそうですが、それぞれの物語に、特につながりはありません。「土曜ワイド劇場」では「運命の死角」のほうが先に映像化され、本作の約2ヶ月前、『35年目の亡霊 学童疎開殺人事件』というタイトルで放送されました。こちらは東映ではなく、東通企画の製作。脚本・佐々木守、監督・真船禎という興味深いスタッフによる作品なので、機会があれば、観てみたいものです。
中年にさしかかった男と、若い女が、ドライブデートで湖へやってきました。男は、明正大学医学部の助教授になったばかりの斑目英夫(河原崎建三)。女は、明正大学文学部の学生・山崎和子(竹井みどり)でした。
2人は男女の関係で、和子は英夫に対して、結婚を迫っていました。「大学教授夫人になるのが夢だった」と、無邪気に話す和子。しかし、どうやら彼女は恋愛感情というより、割り切って地位のほうを重要視したようです。英夫にしてみれば、学生との結婚にはリスクがありました。自分の将来に関わるので、穏便に別れたいと思っていたようですが、和子はそれを許そうとしません。そこで英夫は、完全犯罪を成功させるために、和子を湖まで連れてきたのでした。ボートから和子の死体を湖に沈めた英夫。彼の目的は、達成されたかに思われました。
しかし、英夫が自宅へ戻ると間もなく、医学部の学生・雲井孝一(山本茂)が訪ねてきました。なんと孝一は和子の恋人で、英夫と和子のドライブを、こっそり追いかけていたのです。当然、英夫が犯行に及ぶところも、和子の死体を捨てるところも目撃。怒りがおさまらぬまま、孝一は英夫のところへ押しかけたのでした。
孝一は、英夫を脅迫します。最初は一千万円、2回目も一千万円、さらに今度は二千万円……。さすがに英夫も、いつまでも孝一の言うことを聞いていられなくなりました。ただ、孝一にしてみれば、お金が目的というより、恋人を奪われた怒りと恨みのほうが強いようです。追いつめられた英夫は、孝一も殺してしまおうと考え始めました……。
ここまでが本作のプロローグです。主演キャストは高峰三枝子さんと丘みつ子さんなのですが、オープニングのタイトルバックまでは2人とも一切、登場しません。初期の2時間ドラマらしい構成と言えるでしょう。後に、いわゆる「シリーズもの」が増えると、視聴率対策として、「おなじみのレギュラーたち」は冒頭から何らかの形で画面に登場することを余儀なくさせられていきます。それはそれで正しいアプローチではありますが、サスペンスとしての緊迫感を出すうえでは、本作のような導入のほうが相応しいのではないでしょうか……。あくまで、一個人の意見ではありますが。
さて、雲井孝一には旅行という趣味がありました。亡くなった雲井画伯の息子である孝一は、医学部に在籍しているものの、本来は医者になりたくなかったようです。姉・寿江(丘みつ子)は父がやっていた画廊を引き継ぎ、孝一の学費なども面倒を見てきました。寿江の心配をよそに、孝一はまた旅行へ行ってくると言い出します。彼は高名な旅行評論家である望月綾子(高峰三枝子)に憧れており、綾子のような紀行文が書きたいと思っていました。そこで孝一は大胆にも、パーティに出席していた綾子に直接、「自分の旅のアイデアを聞いてほしい」と申し出ました。一瞬、怯んだ綾子でしたが、意外と親切に、孝一の相談に乗りました。綾子のアドバイス通りの旅をすることを決め、出発した孝一。しかし彼は数日後、他殺死体で発見されることになります。それも、なんと寿江の部屋で……。
当然ながら、寿江は困惑します。旅行中も、元気な声で電話をくれていた孝一が、なぜ殺されてしまったのか。孝一が、恋人を殺した英夫を脅迫していたことも知らず、事件の謎を解くべく、まずは孝一が旅したルートをそのまま辿ってみようと考えた寿江。出発する前に孝一が綾子に相談していたことを知り、寿江は綾子と接触しますが、綾子もまた責任を感じたようで、忙しい仕事の合間を縫って、寿江と同行することを決めました。自分の旅行の知識が、謎の解明に役立つのではないかと考えたからです。
こうして寿江と綾子は、ちょっと不思議な二人旅に出ました。綾子の協力によって、孝一が殺されるまでの行動が、次第に判明していきます。そんな中、孝一とたびたび電話で話していたという、謎の女性の存在も浮かび上がってきました。それは、いったい誰なのでしょうか。まさか、殺されたはずの和子が生きている!? そして、(視聴者側からすれば)最も怪しい存在の英夫もまた、寿江と綾子の行動をひそかにマークしていて……。
山陰・山陽地方へのロケーションを敢行。物語の焦点は、「寿江と綾子が孝一の足取りを辿っていく」部分です。英夫を脅迫していたとはいえ、寿江にとっては、孝一はかけがえのない、たったひとりの弟。なんだか、観ていると冒頭で英夫に殺された和子がいちばん悪女のようにも思えてくるのですが、そんな部分も含め、「人間にはいろいろな顔がある」というのが、本作のテーマかもしれません。やがて判明する、意外な真犯人(=英夫の共犯者)の正体とは? 犯人側がアリバイを作るために仕組んだ、ある大胆なトリックについても注目です。ちなみに、タイアップ先として劇中に登場する山口県・湯田温泉の「ホテルかめ福」は現在、建て替え工事のため休業中。予定では2021年11月に再オープンし、ホテルの名称自体も変更されるそうです。
あらすじ部分に登場しなかったキャストとしては、捜査チームの中心的存在である万代警部役に関口宏さん。その他、捜査班の顔ぶれには鈴木瑞穂さんや相馬剛三さんがキャスティングされています。綾子に原稿を発注している旅行雑誌の編集長役は井上昭文さん。孝一が宿泊した旅館の女将役は、当時すでに『ドラえもん』の声優として高い評価を得ていた大山のぶ代さんが演じていました。また、ホテルマン役で出演している轟謙二さんは、本作のロケコーディネーターも兼任されていたものと思われます。
それでは、また次回へ。なお、6月の「違いのわかるサスペンス劇場」では本作のほか、1987年の『現代恐怖サスペンス』より『向田邦子の鮒』(監督:吉川一義/出演:井上順、香山美子ほか)、1994年の『愛と疑惑のサスペンス』より『レベル7~空白の90日~』(原作:宮部みゆき/出演:浅野ゆう子、平幹二朗、永作博美ほか)も放送されます。これらの作品群もぜひ、ご堪能ください!
文/伊東叶多
<放送日時>
『運命の旅路』
6月6日(土)13:00~15:00
6月11日(木)20:00~22:00
6月17日(水)22:00~24:00
6月20日(土)13:00~15:00
『向田邦子の鮒』
6月13日(土)13:00~14:00
6月27日(土)14:30~15:30
『レベル7~空白の90日~』
6月13日(土)14:00~15:30
6月27日(土)13:00~14:30
2020年5月18日
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チューもく!! 東映テレビドラマLEGACY 第15回 『華やかな死体』
不安な日々が続く中、みなさまはいかがお過ごしでしょうか……。
かつて、「♪なんでもないようなことが~」というフレーズが印象的なヒット曲がありましたが、まさに「当たり前」のことを普通にやれていた日常が懐かしくなっている今日この頃。人類が長いトンネルを抜けるのがいつの日になるのか分かりませんが、そう遠くない将来、また「当たり前」の日々を取り戻せることを祈りつつ――。
今月、ご紹介するのは1980年の「土曜ワイド劇場」作品より、9月の「競作推理シリーズ」第2弾として放送された『華やかな死体 赤い花は殺人予告』です。原作は、佐賀潜先生による第8回江戸川乱歩賞受賞作(戸川昌子先生が同時受賞)。作品が発表されたのは、1962年でした。佐賀先生ご自身は、検事、弁護士を経て作家となった人物。1970年に56歳の若さで逝去されたため、若い世代にはなじみのない存在かもしれません。筆者個人で言うと、「必殺」シリーズの『助け人走る』(73年)で、原案として「清兵衛流極意~明治泥棒物語~」という作品がクレジットされているのですが、その著者が佐賀先生で、佐賀潜=「さがせん」という名前(ペンネーム)が印象に残っていた程度でした。とはいえ、60年代は小説のみならず法律入門書の類でもヒットを連発。もし70年代以降もご存命で、活躍を続けていれば……と悔やまれます。監督は、大映京都を経て、70年代以降はテレビドラマを中心に活躍している池広一夫さん。1990年にスタートした「土曜ワイド劇場」の『終着駅シリーズ』は、「土ワイ」が2017年に終了してからも継続しており、本年=2020年1月に放送された最新作(シリーズ第36作)も、池広監督が手がけました。昨年=2019年で90歳ということに驚かされます。なお、脚本の石松愛弘さんは、池広監督の義弟にあたります。
ある夜、食品会社「三協食品」の社長を務める柿本高信(相原巨典)が自宅で何者かに殺害され、連絡を受けた埼玉地検の検事・城戸明(竹脇無我)が現場へと急行しました。第一発見者は、柿本の息子である富美夫(織田あきら)。凶器は現場にあった青銅の花瓶と思われ、犯人のものらしき指紋も残されていたことから、事件は遠からず解決するだろうというのが、捜査関係者の見込みでした。
やがて、埼玉県警・浦川署の津田刑事(織本順吉)の丹念な捜査もあって、かつて柿本の秘書を務めていたが、柿本の妻・みゆき(赤座美代子)と不倫関係になったことがバレて秘書をクビになり、現在は金融会社「深町商事」の営業部長となっている人見十郎(長谷川明夫)が有力容疑者として浮かび上がりました。津田刑事は指紋のみならず、毛髪などの証拠も慎重に押さえて、ついに人見は逮捕されました。
捜査の手続きなども問題なく、これで一件落着と思われました。担当検事の城戸は上司(内藤武敏)から、近いうちに栄転の話があると聞かされていたこともあり、より一層、この事件に力を入れて取り組んでいました。
ところが……人見の弁護人として、有名な大物弁護士・山室竜平(佐藤慶)がやって来たことから、風向きが変わり始めます。山室に依頼したのは、人見が働いていた深町商事の社長・深町源造(金子信雄)でした。山室クラスの弁護士が動き出したこと自体、埼玉地検側にとっては不可解でしたが、依頼主が深町だというのも謎でした。いったい。この事件を担当することで深町や山室に何のメリットがあるのか!?
そして、浦川地裁で始まった裁判では、事件関係者が次々と、取り調べ段階での証言を翻していきます。さらに、人見にとって有利な証言も次々と出てきました。料亭の女将・峯島たつ(弓恵子)や、花屋の女主人(吉野佳子)によるアリバイ証言などは、もはや決定的でした。どう考えても、犯人は人見に間違いないはずなのに……。
公判が重ねられた末、裁判長が述べた判決は、城戸たちにとって無情とも言えるものでした。
……と、ここまでストーリーを書いても、ここから先もきっと、面白く観られるはず。それだけしっかりした構成で、さすが法廷経験が豊富な佐賀先生の作品、という印象です。ただし、2時間ドラマとしての映像化にあたり、細部はかなり変更されている模様。原作では容疑者を絞るまでのプロセスにも紙数が割かれていますが、ドラマ版では、城戸VS山室の法廷勝負を際立たせるため、全体のバランスに手が加えられています。この改変は、成功していたと言えるでしょう。また、細かい点では、主人公・城戸のイメージも原作とドラマでは少々、異なっています。ドラマ版の城戸は演じるのが竹脇無我さんということもあり、最初から「頼れる」印象が強いのですが、そのことが逆に、後半で逆襲されていくくだりを印象づけているとも言えるので、この点も、巧い改変だったのではないでしょうか。
唯一、ラストについては、2時間ドラマというジャンルの「限界」を示しており、不満が残る視聴者も多いかもしれませんが、原作とはまた違った余韻が残るので、これはこれで「アリ」と言っておきたいです。正直なところ、あと10~15分くらい尺が欲しかったところですが……。
本作のキャストは、渋い実力派揃い。とりわけ、大物弁護士に佐藤慶さん、サラ金会社の胡散臭い社長に金子信雄さん、といったあたりは絶品です。こんな曲者が手を組んだら、正統派の二枚目にして美声の持ち主・竹脇無我さんもタジタジでしょう。
マニアックなポイントとしては、裁判での峯島たつの証言内容にご注目ください。ちょっと唐突な証言なので、思わず笑ってしまう方もいらっしゃるかも?
それでは、また次回へ。なお、5月の「違いのわかるサスペンス劇場」では本作のほか、1986年の『山村美紗サスペンス』より『死人が夜ピアノを弾く』(脚本・監督:中島貞夫/出演:松方弘樹、松尾嘉代、宅麻伸、西田健ほか)、1992年の『不思議サスペンス』より『姿のない尋ね人』(監督:崔洋一/出演:古尾谷雅人、黒田福美、内藤剛志ほか)も放送されます。これらの作品群もぜひ、ご堪能ください!
文/伊東叶多
<放送日時>
『華やかな死体』
5月2日(土)13:00~15:00
5月16日(土)13:00~15:00
5月30日(土)13:00~15:00
『死人が夜ピアノを弾く』
5月9日(土)13:00~14:30
5月23日(土)14:00~15:30
『姿のない尋ね人』
5月9日(土)14:30~15:30
5月23日(土)13:00~14:00
2020年4月14日
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チューもく!! 東映テレビドラマLEGACY 第14回『不安な階段』
春・4月。本来なら、新年度の明るいムードに包まれた季節なのですが、今年ばかりはそうもいかず、悶々とした毎日を過ごしている方も多いと存じます。そんなときこそ東映チャンネル……と言うと不謹慎かもしれませんが、新旧さまざまな東映作品をご覧いただき、しばしフィクションの世界へ旅していただければと思っています。
さて今月は、いよいよ一連の『傑作推理劇場』シリーズでは最後の放送作品となる、『不安な階段』をご紹介します。本作が放送されたのは、1982年4月15日。『春の傑作推理劇場』全体としても、本作が最終回でした。当時と同じく、今回は4月の放送ということで、それを念頭に置いてご視聴いただくのも一興でしょう。原作は夏樹静子先生の『階段』。監督は『不良番長』シリーズ(68~72年)などを経て70年代後半からは本格的に活躍の場をテレビへと移行し、当時は『特捜最前線』(77~87年)のローテーションの一翼を担っていた野田幸男さんでした。82年1月~3月期だけでも『特捜』を4話分、手がけています。
ブティックを経営している36歳の美しき未亡人・芳村杏子(浜木綿子)には、小学6年生になる長女・ユキコ(仙道敦子)がいました。仕事が忙しいため、家事はお手伝いの郷田君枝(乙羽信子)がこなしていました。杏子と同じく夫を亡くしている君枝はとてもおしゃべりな性格で、何かと言えば亡き夫の自慢話をするのですが、杏子とはウマが合っているようで、芳村家は一見、幸せな様子でした。
しかし、まだじゅうぶんに若い杏子は、新しい恋をしていました。相手は、ブティックの経理関係を任せている北島哲夫(荻島真一)。ある夜、哲夫は杏子を家まで送り届けると、そのまま杏子の家で仕事の続きをやりたいと言い出しました。杏子は複雑な年頃のユキコのことを慮り、哲夫を帰そうとしますが、彼は動こうとしません。結局、ユキコを寝かしつけた後、哲夫と杏子は情事に及びます。翌朝、杏子が部屋を出ると、部屋の前には、ユキコのヘアピンが落ちていました。ユキコに自分たちのことを知られたのかもしれないと、動揺する杏子。しかし哲夫のほうは平然としていました。
間もなく、杏子は店へと出勤。ユキコも小学校へと登校しますが、哲夫はそのまま、家に残って仕事を続けました。その日の午後、杏子は警察から電話を受けて驚きます。なんと、哲夫が芳村家の階段から転落し、死亡したというのです。杏子は、母親であるにもかかわらず、咄嗟にユキコのことを疑ってしまいました。哲夫が死亡したと思われる時刻、ユキコはすでに下校し、家に帰っていた可能性があるのです……。
というわけで、物語の焦点は「哲夫の死は事故なのか、あるいは他殺なのか」に絞られていきます。そして他殺だとした場合、犯人は誰なのか? 動機がありそうなのはユキコですが、そう思っているのは母の杏子だけですし、それどころか、その動機が間違いなければ、自分にも大きな責任があることになり……。母親であるとともにひとりの女性でもある杏子の複雑な心情を、浜木綿子さんが見事に表現されていました。
そして、本作のもうひとりの主人公といえるユキコを演じたのが子役時代の仙道敦子さんです。整った顔立ちには、すでに現在(50歳!)の仙道さんの面影が、はっきりとあります。撮影当時、仙道さんは実際に小学6年生でしたが、年齢よりも少し大人っぽい雰囲気を醸し出しており、今回の役柄にはピッタリなイメージだったと思います。本作の前年、テレビ朝日の『判決-生きる』(81年)にレギュラー出演した仙道さんは、その演技力を認められ、1982年には『鬼龍院花子の生涯』(6月公開)、『大日本帝国』(8月公開)という東映の大作2本に立て続けに出演。まさに、ブレイク前夜でした。結婚後、90年代の中盤からは芸能活動をほぼ休止されていましたが、2018年に本格復帰。NHK朝の連続テレビ小説『なつぞら』(19年)への出演は、記憶に新しいところでしょう。
キャストでもうひとり、触れておきたいのが君枝役の乙羽信子さんです。君枝がお手伝いとして働いている芳村家で発生した事件(事故?)なので、当然ながら、君枝もキーパーソンのひとりです。彼女が事件について何を知っているのか……は本編をご覧いただくとして、当時の乙羽さんといえば、星野知子さん主演でスペシャルドラマが計8作にわたって放送された『サザエさん』(81~85年)で、フネ役を演じていました。そして、驚異的な視聴率を獲得したNHK朝の連続テレビ小説『おしん』(83年)では、主人公・おしんの中年~老年期を担当。還暦を前に、女優としてノリにノッていた時期と言えるでしょう。
タイトルの『不安な階段』とはもちろん、哲夫が死亡する原因となった、芳村家の階段のこと。この階段、もともと手すりがなく、見るからに危険な作りになっていますが、なぜそんな階段なのかは、劇中で説明が加えられています。とはいえ、それにしても、もっと早く(ユキコが幼いうちに)手すりをつけておくべきだったのではないかと思ってしまいますが、そういうツッコミは野暮というものでしょう。なお、この点が気にかかる方はきっと、結末についても若干「?」となりそうですが……。
また杏子が経営するブティックとして撮影に使用されているのは、クレジットによれば「ミレーヌ友田」の直営店舗のようです。「ミレーヌ友田」は70年代に創業し、80年代にパーティードレスやフォーマルドレスの分野で一時代を築いたブランドでした。
それでは、また次回へ。なお、4月の「違いのわかるサスペンス劇場」では本作のほか、1980年の『土曜ワイド劇場』より『京舞妓殺人事件』(監督:牧口雄二/脚本:大和屋竺/出演:長門裕之ほか/東映チャンネル初放送)、1993年の『サスペンス・明日の13章』より『変身 もう一人の私』(監督:黒沢直輔/脚本:信本敬子/出演:伊藤かずえ、蟹江敬三、石濱朗ほか)、1988年の『京都サスペンス』より『マルゴォの杯』(監督:山下耕作/脚本:橋本綾/出演:岩下志麻、奈良岡朋子、石橋蓮司ほか)も放送されます。これらの作品群もぜひ、ご堪能ください!
文/伊東叶多
<放送日時>
『不安な階段』
4月4日(土)13:00~14:00
4月11日(土)14:00~14:50
4月19日(日)15:00~16:00
『京舞妓殺人事件』
4月4日(土)14:00~15:50
4月18日(土)14:00~15:50
4月25日(土)13:00~15:00
『変身 もう一人の私』
4月5日(日)15:00~16:00
4月18日(土)13:00~14:00
『マルゴォの杯』
4月11日(土)13:00~14:00
4月25日(土)15:00~16:00
2020年3月17日
カテゴリー: その他
その他
チューもく!! 東映テレビドラマLEGACY 第13回『ステレオ殺人事件』
おかげさまで、今回より「東映テレビドラマLEGACY」も2年目に入りました。相変わらず、細々と、ではありますが、好きな「東映テレビドラマ」について語れる喜びを噛みしめつつ、執筆を続けております。今月は1982年の『春の傑作推理劇場』より、『ステレオ殺人事件』をご紹介します。
『春の傑作推理劇場』は、1980年と1981年の夏期に集中放送された『傑作推理劇場』の好評を受け、1982年の1月末から4月中旬にかけて、テレビ朝日の毎週木曜夜9時枠で放送されました。この枠はテレビ朝日を代表するドラマ枠のひとつで、1985年の秋からは、水曜夜10時から移動してきた『特捜最前線』を放送。90年代には『七人の女弁護士』シリーズや、『法医学教室の事件ファイル』シリーズなどが人気を博しました。そして近年ではなんといっても『ドクターX~外科医・大門未知子~』シリーズが印象的です。
『春の傑作推理劇場』全10エピソードの中で、東映が製作を手がけたのは『ラスト・チャンス』(2月に放送済み)、『ステレオ殺人事件』、『妻よ安らかに眠れ』、『不安な階段』の4本。このほか、松竹作品『黒い館の女』『嫉妬』はいずれも、松坂慶子さんが主演でした。特に『嫉妬』は前・後編という破格の待遇。『黒い館の女』は深作欣二監督、『嫉妬』前・後編は降旗康男監督と、スタッフ陣の豪華さも目を引きます。
『ステレオ殺人事件』はシリーズの中で3話目として、1982年2月11日に放送されました。脚本は、東映京都撮影所の助監督を経て、シナリオライターとなった掛札昌裕さん。東映ファンは、石井輝男監督や鈴木則文監督の諸作の脚本家として、よくご存知でしょう。監督は小山幹夫さん。60年代後半から平成初期まで、さまざまなジャンルのテレビドラマを手がけられました。代表作には『プレイガール』(69~74年)や、土曜ワイド劇場『三毛猫ホームズ』シリーズ(79~84年/2作目から最終作までを担当)、『HOTEL』シリーズ(90~98年/95年の第4シーズンまでを担当)などがあります。
さて、この『ステレオ殺人事件』ですが、原作は森村誠一先生の短編で、1972年発行の『殺意の逆流』を皮切りに、他のさまざまな短編集にも収められています。タイトルから連想するのは、いわゆる「騒音殺人」の類ではないでしょうか。しかし、その種の事件の最初の例として知られる「ピアノ騒音殺人事件」が発生したのは、1974年のことでした(この事件で死刑判決を宣告された人物は2019年現在、90歳を超えていますが、未だ死刑は執行されていないそうです)。ピアノ事件の後、1976年や1981年には、まさにステレオの音量が原因となった殺人事件が発生していますが、いずれにせよ、『ステレオ殺人事件』が書かれたのは、それらの事件よりも前だったことになります。
それゆえ、というのも妙な表現ですが、『ステレオ殺人事件』で起こる“殺人”の直接の動機は「騒音」ではありませんでした。なので、「騒音の話かな?」と思って本作を観ると展開に驚かれるかもしれません。
郊外の新興団地で、会社員の夫・勇次(山本紀彦)とともに暮らす主婦・吉崎勢津子(秋吉久美子)は、隣に住む片野家から聞こえてくる大音量の音楽に悩まされていました。昼間は趣味の鎌倉彫りに没頭したいのに、とてもそれどころではありません。勢津子はもう、何度も片野家のドアを叩き、夫人の郁子(結城しのぶ)に対して直接、苦情を言っていましたが、郁子は「自分の好きな音楽をかけて何がいけないの?」と、悪びれる様子すらありませんでした。音楽がかかるのは、必ず日中だけだったため、帰宅した勇次にそのことを話しても「ステレオくらい我慢しろ」と、つれない返事。勢津子は「引っ越したい」とまで考えるようになっていたのですが、それを言い出すと勇次は分かりやすく不機嫌になるのでした。たまらず近所の交番で、巡査(河合絃司)に訴えてみた勢津子でしたが、やはり、真剣に受け止めてもらうことはできず……。勢津子はもはやノイローゼ寸前まで追い込まれていました。
そんな勢津子に魔が差したのか、彼女はある日、万引きをしてしまいます。店を出たところで、警備員(丸岡奨詞)に呼び止められ、店へ連れ戻される勢津子。当然ながら、警察へ通報されるところでしたが、もうひとりの警備員・戸室(峰岸徹)が、たまたま同じ団地で暮らしていて顔見知りだったため、彼女の罪は今回に限り、不問ということになりました。勢津子は、戸室に深く感謝します。
しかし、彼女を悩ませる騒音が止むことはありませんでした。このままでは、勢津子の精神が崩壊するのは時間の問題です。でもそんなとき、あるきっかけから、勢津子は郁子の秘密を握ることに成功しました。そう、郁子が日中、ステレオを使うことには、ある理由があったのです。そこから勢津子の「逆襲」が始まりましたが、その「逆襲」は、やがて予想もつかない事態へと発展していき……。
先月、ご紹介した『死ぬより辛い』も、主演の秋野暢子さんの鬼気迫る演技が見どころでしたが、この『ステレオ殺人事件』も、秋吉久美子さんがさまざまな表情を見せてくれています。極度のストレスから万引きへと至ってしまう際の虚ろな表情、そして「逆襲」に転じたときの表情などは、特にポイントだと言えるでしょう。
劇中、何度もステレオから流れる曲は、スウェーデンのポップ・グループで、世界的な人気を博したABBAの『On And On And On』(劇中の台詞では『On And On』)。エンディングでもこの曲を使っているのが、なかなか面白い演出でした。ちなみに原作では、フランスのムードオーケストラ音楽ということになっていますが、原作の発表から約10年が経過していることや、テレビドラマとしての表現を考えると、この改変はうまくハマっていたと言えるでしょう。
やがて発生する「ステレオ殺人事件」。明確な「動機」が存在することから、容疑者となってしまう勢津子。真犯人は誰なのか、そして事件が起こるに至った背景とは? よく練られた設定と構成で、最後まで目が離せない作品となっています。一つだけ付け加えると、キャストに叶和貴子さんの名前がありますが、ストーリー紹介のところには出てきていません。1982年の叶さんといえば、お正月に放送された土曜ワイド劇場『江戸川乱歩の美女シリーズ 天国と地獄の美女』でヒロインを演じ、3月からは『宇宙刑事ギャバン』にレギュラー出演と、まさにブレイク真っ只中。そんな時期(2月)の放送とは思えないほど、意外なタイミングで、意外な役柄を演じているので、ぜひご注目ください。他にも北村総一朗さん、横山道代さん、三谷昇さんと、個性派のキャスト陣が顔を揃えています。
それでは、また次回へ。なお、3月の「違いのわかるサスペンス劇場」では本作のほか、同じく1982年の『春の傑作推理劇場』より『妻よ安らかに眠れ』(出演:愛川欽也、畑中葉子ほか/東映チャンネル初放送)、1993年の『サスペンス・明日の13章』より『小さな王国』(監督:吉川一義/出演:岩下志麻、草刈正雄、石立鉄男ほか)、1988年の『乱歩賞作家サスペンス』より『罠の中の七面鳥』(監督:崔洋一/出演:浅野ゆう子、古尾谷雅人、室井滋、相楽晴子ほか)も放送されます。これらの作品群もぜひ、ご堪能ください!
文/伊東叶多
<放送日時>
『ステレオ殺人事件』
3月7日(土)13:00~14:00
3月11日(水)13:00~14:00
3月14日(土)14:00~15:00
3月28日(土)14:00~14:50
『妻よ安らかに眠れ』
3月11日(水)14:00~15:00
3月16日(月)13:00~14:00
3月21日(土)14:00~15:00
3月28日(土)13:00~14:00
『小さな王国』
3月7日(土)14:00~15:00
3月14日(土)13:00~14:00
『罠の中の七面鳥』
3月16日(月)14:00~15:00
3月21日(土)13:00~14:00
2020年2月25日
カテゴリー: その他
